第2章 歓迎
「…………ここは」
目を開けた先は
何も見えなかった
こう暗くちゃ、カルタを探すどころか凜々蝶すら見付けるのが危うい
ひとつため息をついて
声を発する
「おーい、凜々蝶ー!」
「哀兎さん?……心配しなくても、ちゃんと居るぞ」
「それなら良かった」
声のする方を見て
姿を僅かに確認
どうやらそっちに壁があるらしい
……確定だな
この妖怪は
「ねぇ、これって……」
「おーい、凜々蝶ー、哀兎ー」
「反ノ塚?」
ひらひらと体を靡かせながらやってきたのはことの発端
悪びれた様子も何もなく目の前に降り立つ
「無事か?」
「無事も何も……」
「ふん、愚問だな。これは塗り壁だ」
彼女もわかっていたようで
壁に触れながら説明をしてくれる
「夜道に現れ道を塞ぐという……それだけの妖怪だ」
それだけっていうのもなんだか可哀想だけど
フォローは出来ないなー
「ただそれだけ?」
「あぁ」
「夜道ってことは、朝になったら消えんの?」
「おそらくな」
「……へー」
……なんだか嫌な予感
その予感は的中して
布である自分の体を自分に巻き付け
地面に寝転ぶと
「んじゃ寝るか」
「順応力高すぎだろ」
「大丈夫大丈夫凜々蝶、燃やしとくから」
「やめて、哀兎だと冗談に聞こえないから」
冗談どころか燃やすつもりだったけど
貴方のSSが凍らすのなら
私は燃やしますが?
眼鏡を外したところまで反ノ塚を脅し
流石にそろそろ出なきゃと思い始める
こんなところに長居させられるつもりもするつもりもない