第2章 歓迎
「ただいまー」
「ほーら、凜々蝶もこっちこっち」
「何故ラウンジ……」
背中をさとして、反ノ塚が開けるラウンジに入ろうとすると……
ガン!
「!」
「あら、」
反ノ塚が開ける前に野ばらさんが開け放つ
おお、あぶな……
反ノ塚が先頭で良かった
ひらひらーと扉と壁の間から出てくる
「おいおい、挟まれてペラペラになっちゃったじゃん」
「突っ込まないわよ」
「あはは……」
仲がよろしいことで……
漫才のような日常会話の後ろから、哀兎たちが顔を出す
「いや、雪小路さん、それどころじゃないでしょ」
「カルタは……」
「そう!そうよ!それどころじゃないのよ」
「カルタ?」
カルタがどうしたんだろ……
疑問に傾げる
そうすると、青眞が説明してくれた
「カルタに野ばらがお使い頼んだんだけど、帰ってこないんだよ。もうすぐ逢魔が時だし……」
「何かあったんじゃないかって話してたんだよ。あ、雪小路さんはスルーの方向で」
言われなくてもスルーする
あんな鼻血を出して眼鏡曇らせてる残念な美人さんはしらない
カメラまで構えちゃって……
カルタをそんな妄想に使わないであげて……
がっくりと項垂れると、視界に窓の外を見る凜々蝶の姿
「もうすぐ日が沈むな……僕らには危ない時間になってきた」
「しゃーねー、探しに行くか」
「じゃあ私も…………!」
グッ……
行こうと一歩踏み出した私を、苓が止める
顔を見れば、ゆるゆると首を振られた
……ちっ
こんなときに……
「僕らだけで十分だ。気楽にしていてくれ」
「代わりに私たちが行ってくるから!カルタは任せて!」
「俺もかよ!?」
「当たり前でしょ。男の子でしょ」
「はぁ……わかったよ」
私は強気に走り出した皆の背中を送り出した