第1章 ここは妖館
「ば、化け物っ!」
入った途端、これだ
勝手な人間
不法侵入した身で何を言うのか
温度の下がった部屋に、淡い青い光が照らされる
「失礼だな、私たちはれっきとした人間。ちょっと妖怪と交わった先祖様を持っていて、その先祖返りなだけで」
「あたしたちみたいなのは純潔の妖怪に狙われやすいの」
それは二人のせい
緊張感のように張り詰められたこの空気は……人工的なもの
「だからこのマンションに固まって暮らしてる。お互いを助け合っていきるために」
青眞のせい
綺麗に散る夜桜も、きっと、誰かのせい
目を閉じてクスリと笑い、静かに怯える彼へ呟いた
「強盗なんかに、化け物扱いされたくないな」
「ひっ!いつの間に……!」
足音もなにもない声が響くのは、私のせい
猫に足音を求める方が間違ってる
私に賛同するかのように、雪小路さんは頬に手を当ててぼやく
「そうよ、しかもむさい男だし。美女のレオタードにしなさいよ」
「おいおい、趣味出てるぞ……」
まぁ、例え雪小路さんのお望み通りの人だっとしても
それとは逆でいかつい人でも
「……人間なんて、俺たちの脅威じゃないんだよ」
「うん……」
唯一変化していないカルタと苓はそれでも冷たい目線を男に送っている
逃げ場のない檻の中に……まるで獣に囲まれてるような感覚の男は
震える全身を動かしてナイフを振るう
「な、何言ってるのかわかんねぇよ!おとなしくしろ!!」
カルタに
……あぁ、本当にバカ
よりにもよって……
パサ……
「な……」
カルタを囮に取ってしまうなんて