第3章 怪盗2幕目『姉さんは人気者』
エルロック『こんにちは、名探偵のエルロック・ショルメですよ』
(…見事に的中してしまった…)
ルナ「エルロック、突然名前を名乗ったりしてどうしたの?」
エルロック『いえ、アランくんと画面の前の皆さんのために必要かと思いまして…』
エドガー『…画面…?』
ウィル『はえ?よくわからないけど、俺たちも名前を名乗ったほうがいいのかな…?』
エルロック『まぁそんな話は置いておいて、ルナのお嬢さんは今日もとても美しいですね!!』
(姉さんがいつも綺麗なのは当たり前だが、他の男が言うのは癪に障る……というか俺の目の前でよく姉さんを口説けるな)
ルナ「……褒めてもツケは緩和されないわよ」
エルロック『おっと、流石はお嬢さん。察しが良いですね!ですが美しいと思ったのは勿論本心ですよ』
(エルロックのやつ、よっぽど全面戦争したいらしいな…!)
ルナ『はいはい、ありがと。注文はいつものね』
エルロック『ご明察です!そして先に言っておきますがアランくん、ルナのお嬢さんがいなくなった途端に殺人光線を発射するのはやめてくださいね?』
今すぐこいつを追い出してやりたい衝動に駆られたその時、またベルが鳴った。
《カランコロン~♪》
ルナ「いらっしゃいませ!あら、今日もいらしてくれたんですね遠山さん。いつもありがとうございます」
姉さんがよく通る澄んだ声で空気を切り替えるためにいつもより明るめに言ったいらっしゃいませも素敵だなと思いつつ、俺はまたもや悪い虫が登場したことに内心溜息をついた。
遠山『よっ、嬢ちゃん元気が良さそうで何より!仕事終わりにどうしても嬢ちゃんの顔が見たくなって……っておいおい、そんなに睨むなって!!』
ルナ「あらら…ほらアル、笑顔笑顔!」
姉さんがそういうなら――といつもの悪い虫撃退スマイルを浮かべて見せれば、遠山はひぇ…っとなさけなく悲鳴をあげたのだった。