第6章 継続は力なり
ドォォォンッ!!
高杉は押し寄せてくる天人を次々に斬りつけた。
逆手持ちに変えてから敵を押さえつけ、確実に息の根を止める。
返り血など全く気にも留めない。
「ひ、怯むなァ!大将と言えど、こっちが優勢なのは変わらんッ!」
数を理由に、自分達が優位に立ってると思っている。
(まさに、烏合の衆とはこのことだな。これだったら、さっきのサトリ野郎が手強かった)
天人たちの必死な無駄なあがきに、高杉は何も言うことがなかった。
天人もだいぶ殲滅していき、数も減ってきた。
(雅!)
障壁をくぐり抜け、ようやく雅の腕を掴んだ。
「!」
「おい。無事か?」
よほど夢中になってたのか、ハッと驚いた顔で俺を見た。
「い、いつの間に…?」
「お前、気付いてなかったのか?」
敵はとっくのとうに気付いてたが…
「遅かったね。待ちくたびれたよ。晋助」
高杉が来てくれたことで、雅は安堵した表情になり力を抜けた。
「お前…」
「?」
・・・・
あの横顔が、フラッシュバックした
「……いや」
余計に混乱を招くと思い、今聞くのを止めた。
「どうした?」
雅は、はっきり言ってくれないのを嫌うので、何が言いたいのかと疑問に思った。
その振る舞いや雰囲気、様子に目が、いつもと変わらない雅だった
さっき見たのは気のせいだと思い始めた
(いや、やっぱり気のせいだ。アイツがあんな…)
雅は少しムスッとした表情になった。
「ぼーっとしてるけど。88Pから私がいない約6ページの間ずっと自分が出てて疲れたのか?」
「違ェよ。確かに主人公のお前がいなかったのは疲れるが」
今までは、主役の雅を軸にストーリーを展開してきたが…
主人公不在の分を穴埋めするのも、楽なもんじゃなかった
ストーリー考えるの面倒臭ェ、日々の勉強とかも面倒臭ェし、ていうかもう生きる事が面倒臭い……
チーズ蒸しパンになりたい
茶番は置いとき、
「おい」
雅を呼んでこっちに振り向かせて、手の甲で頬の返り血を拭き取った。
グイッ
「痛い…」
不意打ちの上に、力強めにやられて痛い。
「ツラが血まみれだ。少しは気にしろ」
「アンタは私の母親か?」
「せめてそこは父親だろ?」