第6章 継続は力なり
今すべきこと。
それは、いち早く雅と合流する。
今のところ敵が見当たらなくても油断は出来ない
1人より2人の方が生き残れる確率が高くなる
俺にまだ気付いてないらしいが、ここから呼んでも気付くはずだ
だが、声が出なかった
青い陣羽織に白いはちまき、左手に刀を持っている
あれは紛れもなく雅だ
・・・
姿は同じでも、違った
高杉は言葉を失ったまま、雅の横姿を見た。
少し遠いここから見ても分かる
鋭利なナイフが突き刺さるような眼差し
それはいつもにもまして、正面から見たら金縛りにあいそうだ
何より、雰囲気が…
さっきサトリの天人に苦戦してた時と……
いつもの時と違う
それには、
昨日の優しい眼差しは微塵もなく、
まるで 冷たかった
雅は元々近寄りがたいオーラを発している。
だが…
これは、そんな生易しいもんじゃねェ
頬の返り血も全く気にせず、刃こぼれがないか確認してる様子だ
(何か違ェ。いつもの雅じゃ…)
足下を見れば、敵の骸が腐るほどある
たった1人で?
今は普通の表情に戻っているが、一瞬しか見えなかったが さっきは確かに…
笑ってるように見えた
(しかも、今のァ…)
考えたくねェが、まるで……
・・・・・・
そんな、味方のことを思ってる場合じゃなかった
敵の増援が虫のようにうじゃうじゃと現れ始めた。
(まだこんなにいたのか?!)
俺としたことが、気付くのが少し遅かった
雅は振り向き、後ろの敵を見た。
そして、隙を与えないかのよう立ち向かった。
「雅待てッ!」
早まんじゃねェ!
雅は、高杉の声に気付かないくらい目の前の敵に対し没頭していた。
「敵の大将を打ち取れェ!!」
天人らも高杉の存在に気付き、名を上げようと押し寄せてきた
ガォォンッ!!
高杉はそれらを瞬殺した。
敵がいくら数で群がろうと、高杉にとって
・・・・・
そんなことは問題じゃなかった。問題なのは…
「どけよ。てめェらより先に会わなきゃいけねェ奴がいる」
俺が辿り着くまで、
アイツが無事でいるかだけだ
「そこをどけェェェェ!!」