第6章 継続は力なり
天人は立ち上がり、伸縮自在の光る刀をしまった。
「ここは引き下がろう」
「何?」
「負傷した奴を追い込むのは趣味じゃない。それに、貴様のような奴とは互いに本気でやらなければ意味がない」
背を向けた。
「情けでもかけているのか?」
「情け?違うな。俺にはそんなものはない。
あるのはシンプルな、たった1つの目的だけだ。たった一つ、
“己の力を磨き上げ強者に勝つことで、そのさらに強者になる”。それだけだ。それだけで充実感だ」
「あなたにとって、この戦の勝利よりも大切なことなのですか?」
今度は黒子野の方に目を向けた。
「元々この戦に参加したのも傭兵としてだ。この戦自体興味はない。ただ貴様らのような奴と対決したかっただけだ」
今こうして話してる間に、高杉や僕の首を取る機会や時間は十分にあった
もしそうならば、とっくに殺しにいってるはずだ
「貴様のような奴も初めてだ。宇宙は広いものだな。お前みたいな奴がまだいると思うと」
天人は立ち去る寸前に、高杉と黒子野に礼儀のようなものを示した。
「鬼兵隊総督 高杉晋助に黒子野太助だったな?俺も名乗っておこう。
俺の名は馬薫。この戦場で貴様らにまた会えることを楽しみにしてるぞ」
名前を名乗り、馬薫はどこかに行ってしまった。
「行っちまったか」
高杉は自分の刀を地面から抜き、鞘に収めた。
強敵から逃れられた2人は、少し緊張を緩めた。
「危なかったですね。まさか高杉さんがあんな追い込まれるなんて」
! 面目ねェ…
本当に地面に足引っ張ることになるとァ…
肩の力を抜いたことで、黒子野に聞きたいことがあった。
高杉は黒子野に借りた刀を差し出した。
「何でてめェが来た?」
駆けつけてくれたことには感謝してる
だが…
黒子野は高杉から刀を返してもらい、静かに答えた。
「雅さんがすごく心配してたので」
アイツが…!?
「高杉さんのケガをすごく不安に思っていたらしく、僕も心配になったので…」
そういや雅は、俺が指示したとき心配そうな目をしていた。
「でもすいません。指示を無視して…」
「いや、俺もお前に迷惑をかけた。すまねェ」
黒子野は微笑んだ。
「でも、間に合ってよかった。
ボクも信じてました。高杉さんなら勝てると」