第6章 継続は力なり
「グッ…うっ…」
黒子野のおかげで天人の急所を狙えたが、致命傷ではなかった。
やっと攻撃できるくらいで、一瞬つくのがやっとだ。
ズキッ!
「ッ…!」
高杉は無理した挙げ句 足の痛みに、表情を歪めしゃがみ込んだ。
「高杉さん!」
黒子野は高杉の元へ駆け寄った。
「悪ィ。お前がいなかったらやられていた」
流石に、今回は危なかった
「いえ、それにこれは…」
むくりっ
『!』
天人は体を起こした。
しかし、体の状態からするともう戦えない。
「貴様……一つ聞く」
高杉にやられた傷口からの流血に目もくれず、黒子野に問いた。
「俺が後ろを振り向かなかったら、貴様は真っ二つにされていた」
「ええ。確かにそうでした」
黒子野も素直に認めた。
その平然とした態度に、ますます疑問に思った。
「俺が貴様の心を読み取り、後ろを振り向くのを信じたのか?」
俺が、一瞬の隙を作ることに賭けたのか?
何の迷いなくして、“アイツ”(高杉)に自分の刀を委ね、
・
命さえも賭け
何故そこまでアイツに…?
「……いいえ。少し違います」
これは否定した。
そばにいた高杉も聞き耳を立てた。
・・
「ボクが信じたのは両方です」
『!』
「でも……最後に決めてくれると信じてるのは一人だけだ」
天人と高杉は黒子野の言葉に驚いた。
「あのままあなたとやり合っても、僕は確実にやられます。
なら“影”(僕)は、“光”(高杉さん)に託すまでです」
天人は黒子野の答えに驚愕した
(“自分の死”よりも、“仲間”を信じただと?)
サトリの力を持つ俺には、この男が嘘一つ付いてないことは初めから知ってる
何より目がそうだ
なお一層、驚きを隠せなかった
コイツは、本当に
自分の身をなげうってでも
仲間を信じる選択をした
「僕では、あなたには到底足元にも及ばない。高杉さんもケガをしてました」
知ってたのか…
「…けど、力を合わせれば…二人でなら戦える」
今まで見てきた者でも、表面上は仲間を考えつつも、“死にたくない”“アイツに任せて逃げよう”と思う奴はごまんといた。
結局は自分が可愛いだけの、勝負にもならんただの腰抜け共
(なのに…)
ここまで仲間を…
「フッ」
天人は不意に笑った。
面白い奴だ