第6章 継続は力なり

ガァン！！

言葉を遮るように不意打ちをしたが、天人はそれを余裕の表情で受け止めた。

「フッ。それほど大切なようだな」
「てめェ…」

天人を睨みつけ、より一層殺気立てた。

「翡翠の巫女さえ仕留めれば、優位になると思ったが、やはり俺には
・・・
こっちの方がいい。
俺に“命がけの戦い”という張りごたえのあるものを教えてくれるのは、貴様らだ 侍！」

「てめェを楽しませ、もてなすなんぞ知ったことか。だが、その気に食わねェ物騒な目ん玉潰してやらぁ」

両者互角の戦い。どちらが勝ってもおかしくない。

しかし、命を張った死闘の中、何故か高杉は動きが鈍くなっていた。それは…






















ズキンッ！


（ッ…！ こんな時に…！）

足のケガの痛みが増していた。
体調が万全でも、手加減できねー相手なのに、よりによって今


アイツに｢死ぬ気か？｣と言っておきながら
無茶するなとも言われたのにな…

今更 悔いても、何も起きねェ
いや、後悔はしてない

後悔するくらいなら、今やる事をやるまでだ


いつも通りの実力が出せず、刀を弾かれ体勢を崩した。

刀は、向こうの地面に突き刺さった。

「ッ！」

今まで足に負担をかけ過ぎて、ぼろが出てしまった。


「終わりだ。侍ィィ！！」

（…ッ！）

天人は目前に迫ってきた。
手元に刀がない。体をすぐ起こそうとするが、ダメだ。間に合わねェ…




















“高杉さん！！”




「！！」

天人は、誰かの心の声を読み取った。

バッと後ろを振り返ったら、攘夷志士の1人がこっちに攻めてきた。

（黒子野！）

戦闘中でも周りに警戒していたにも関わらず、いきなり現れた。

まるで手品のように…


（いつの間に…！）

どうやってこの俺の目を欺いて？！


天人は知らずとも、高杉は知っていた。黒子野にしかない
・・・・
ある特性を



“ボクは“影”(脇役)だ。
“光”(主役)の影として、ボクはアナタたちを全力でサポートします”



影がいつも薄く、敵からも見つかりにくいその特性がまさに今、真価を発揮したのだ。


天人は高杉から黒子野にすぐ身構えた。

（どんな手を使ったかは知らんが、俺の目を欺けたのは見事。だが、真っ正面から攻めてきたのが運の尽きだ！）