第6章 継続は力なり
「雅?」
「…いや、なんでもない」
雅は何か言いたげだったが、また目を反らした。
「まあ何にせよ、今日は私はアンタの兵だから。“アンタ”(大将)を守る盾として尽力するよ」
「盾?俺はそんな堅苦しいもん頼んだ覚えはねェよ」
仲間を盾にするなんざ
俺はそんなふざけた真似をするつもりもさらさらねーよ
お前が盾?むしろ…
「さっきから俺のことばかり言ってるようだが、お前も自覚しろ。仮にそうだとしても、てめーも
・・・・
こっち側ってこともな」
「……」
“軍医のおまんがいなければ、死者はバッと増え全滅じゃき。
わしらが今まで生き残れたのは、おまんがいたからこそじゃ”
今回鬼兵隊に配属されたのは、あくまで手当てやサポート
本来なら、前線に出させるのも…
守るより、守られるべき存在
雅はそれほど、この戦争を左右する存在と言っても他言ない
ただ剣の腕も優れている。
それは、昔から雅と試合をしてた高杉が1番知ってた。
「とにかくお前はなるべく俺たちから離れるな。独りになれば的になる。それ以外はてめェの好きにしろ。その方が
・・・・・・・・・・
お前もやりやすいだろ」
「…肝に銘じる」
高杉はヅラと違って、断固反対はしない
身勝手なのは分かってるが、正直アンタには助かるよ
昔は互い見ようともしなかったのに、今では互いの腹の中を見通してるかのように…
(晋助が私に「戦うな」と言わないのも、私の身勝手さを知ってるからだ)
私も、晋助が部下を…いや 仲間を身代わりにするなんて、そんな奴じゃないのも知ってる
それに、ああ見えて結構仲間思いなのも…
高杉率いる鬼兵隊は出発した。
(無茶するかもな)
先陣をきる高杉は、ケガした足を気にながら思った。
俺もお山の大将として、足を引っ張るなんざごめんだ
どうやら、俺たちァ
守られるのは性に合わねーのは、互い様のようだな
だが、てめェがどう思おうと死なせねーよ
戦のため 仲間のため いや、それより…
てめェが望まなくても
俺が護ってやらァ
心の中で思いつつも、口に出すことなかった