第6章 継続は力なり
(それ…!)
以前銀に似たようなことをされた
くしゃくしゃと雑で、アイツのテキトーさを実感したんだったな
けど、晋助は違う
優しくて大きな手
まるで……
雅はハッと我に返った。
「急に何?」
いつもなら、軍を率いるリーダーとしての威厳といか張りつめている空気なのに、戦前の緊張感が全くない
「……」
高杉はまだ雅の頭に触れていた。
あん時「きれいなのにもったいねーな」と言おうとした
(だが、あの時ァ言えなかった)
高杉はようやく頭から手を離した。
「そうだ。足のケガは?」
昨日の足のケガを心配した。
「昨日よりはマシな方だ」
高杉の足には、昨日のテーピングがされてある。
「……“無茶するな”と言っても、諦めの悪いアンタはしないわけないよな」
現に昨夜もそうだ
誰かに「言うこと聞かないのは悪ガキの秀才だ」と聞いたことがある
「無茶しねーと、果たせねェことだってある。ケガごときで足引っ張るわけにはいかねーよ」
高杉は鬼兵隊総督。兵を動かす大将として多少の無茶も当たり前
(しかしこのまま放置しとけば、本当に足引っ張ることになる。地面に)
幸い、明日出陣はない
その時にまた、ケガの具合を見るとして、果たして今日…
雅は真剣な表情と心配そうな目をした。
「アンタがこの軍の大将なのも、皆を率いるために誰より戦わなきゃいけないことも知ってる。でも、大将がとられれば戦はしまいになる。アンタも分かってるはず」
確かにそうだが…
「それに、どんなに素直じゃなくて無茶しまくっても、ケガにだけは無茶しないで」
昨夜、高杉がケガのことを言わなかったことに不満を感じてた
あのまま隠していればもっと悪化してた
下手すれば、ケガをしてる方の足を庇うのに負荷がかかって、もう一方の足も…
というのを含め、彼女は怒っていた。
「……分かった。これからは言う」
高杉も医者の言うことには逆らえない。
途端、雅は急に思い詰めたような表情に変わった。
「変わらないんだね。アンタは 昔から…」
「?」
不意にそっぽ向き、何か悩むような顔をして…
いつしか、道場破りで何度も銀に負けても、ずっと無茶してずっと諦めなかったとこ
本当に何も…