第6章 継続は力なり
「……そうかい。じゃ、頼りにしてらぁ」
「がんばります」
黒子野は頼りになる男だ。
俺たちのことをよく分かって、周りのことを一番気にかけてくれる。
喧嘩しか能がねェ奴がいても、こういう奴がいればブレーキ役としてとても助かる。
「それに、高杉さんはすぐ顔に出るので、何か悩み事があるのだと感じました」
浮かない顔から、何か悩みがあると思ったのだ。
「……」
しかし高杉は、苦い顔でなかなか口に出さない。
「僕は高杉さんの悩みを聞くには、役不足かもしれませんね」
「そんなことねェよ…」
お前が頼りねーなんて思ってるわけじゃ…
「でも、僕にとって高杉さんは親友みたいなものです。友達にとって、親友の悩みを聞けるのは何より嬉しいことですから」
「お前…」
「だから別に話せとは言いませんよ。そのうち、話したくなったら話してください」
黒子野…
「…ああ、わかった」
さっきまで苦悩してたのが、黒子野のおかげですっかり元のペースに戻った。
「晋助」
雅は後輩からの挨拶が終わり、総督の所へ来た。
「どのくらいで出発する?」
「……」
相変わらずの、硬い表情に覚悟を決めた何の迷いのない目。
(……“悩み”か)
強いて言うなれば、自分の気持ちにムシャクシャしていた。
だが、コイツの相変わらずのぶっきらぼうな様子見て、少しホッとした。
黒子野のおかげで、何かスッキリした。
高杉はいきなり、ポンッと雅の頭に手を置いた。
「?」
そのまま、頭をそっと撫で何となく思っていたことを何となく伝えた。
『なあ』
『!』
高杉は急に雅を呼んだ。
『何?』
『お前…』
「…やっぱ、髪きれいだな」
あの時言いそびれた言葉。
銀時に先を越されたみたいで、悔しかったが今言えた。
野郎と張り合ってたと言っても間違ってはない。
ただ
そう言えば、コイツが嬉しそうなツラするんじゃないかと思っただけだ。
恐らく高杉は、お世辞とからしくもないことをしようとしたにも関わらず、言えずずっと心残りだったのだろう。
撫でられるのを嫌う雅であったが、高杉の何気ない言葉に気を取られてた。
素直に言ったことが意外で少し驚いた表情になった。