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君想ふ夜桜《銀魂》

第5章 人は皆 十人十色



〈医療室〉

ここには負傷者がずらりと寝ている

体全体が包帯で巻いてある重傷者、手術したばかりで感染の恐れがある患者

負傷者の管理も、重要な仕事だ

雅はけが人の腕の傷の縫合を見た。

(うまくくっついてる。明日には抜糸できるか)

医者にとって、多くの命を救えることは喜ばしいこと。

手を加えるということは、失敗した時その人の命の重みを背負うことになると言っても過言じゃない。

人類が同じ人間の体にメスを入れるなんてそんな恐ろしいこと。大昔は考えられなかっただろう。

彼女は今まで、そんな覚悟と向き合ってきたようなものだ。

(そんな大層なもんじゃないけどね…私は)

やり終えたら手袋を外して医療室から出た。

この後は、部屋に戻って布団にダイブだ。

すると、銀時含めたいつものメンバーたちと鉢合わせした。

「おお雅。皆の容態はどうだ?」

「問題ない」

「本当助かるのー。何かおまんに悪い気がするぜよ。いつもこんなこと任せてしもうて」

医療室はけが人がいる場所。つまり血の臭いなど、いて心地のよい場所とは言えない。

「慣れてるから今更どうってことない」

血の臭いや傷口を見るのも、もう慣れてる。

それは医者として仕方ないことだと承知の上だ。

(もうずっと前からやってるからね)

桂は、気まずそうな顔をした。

「すまなかった。お前に深手も負わせてしまって」

右腕の傷のこと?何でヅラが謝る必要があるの?

「そんな深手じゃない。ヅラは心配しすぎ」

雅はため息をしつつ、皆を見てふと思った。

辰馬の
 脳天気でいつも声がデカくて笑ってるとこ
ヅラの
 心配性でも、リーダーシップがあるとこ
銀の
 計り知れない強さに掴み所のないとこ
晋助の
 誰より素直じゃないけど、誰より仲間思いなとこ

人っていうのは、こうも違うのか。十人十色って、よく言うね。

まじで、共通点というより 相違点しか見えない。

よく見たら身長も…

いや別にディスってるわけじゃない。

あくまで、辰馬が大きいだけだ。

自覚したくはないが、人のこと言えないから。


でも人って違うからこそ面白いもんなのかな?

辰馬も多分それを言いたかったのか。

皆のそういうとこ 改めて見てみると、確かに案外 退屈しないもんだ…

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