第5章 人は皆 十人十色
アイツのあんなツラを初めて見て、意外で驚きが隠せなかった。
あの時の雅は、
いつもとはまるで違う
別人のような優しい目をしていた
よく考えたら、この戦場でアイツは時より違う。
けが人の手当て、戦場で戦う昼の時、
冷淡で口数も表情も乏しい いつもの雅。
部屋で一息付いてる夜の時、
自ら話もし、優しいツラや
いつもと違う表情になる別の雅。
アイツに限らず、誰だっていつもと違う時もらしくねェ時だってあらァ。
だが、そんな違いをいちいち気にしちまう。
俺はアイツのことを昔から見ていた。ヅラや銀時と同じ、仲間として…
今までだってずっと…
俺は雅が触れた頭の所に手を置いた。
アイツの手の感触が、今でも残っている。
あの時、手を繋いだときもそうだった。
今もあの時も、アイツの意外すぎる顔にぶったまげたっつーか、久しぶりにあんなツラを見るのに少し抵抗があった。
赤くなったのも、ただ動揺しただけだ。
(慣れねーもんや いつもと違うことに出くわしたら、誰だってぶったまげるもんだろ。俺も少し驚いただけだ)
・・・・・
それに、そんなことあいつが望んでねェのは、俺が1番分かってるはずだ。
自分の頭に触れていた手に、力を入れた。
そして俺は普通の顔になり、ようやく立ち上がった。
他の奴は知らねェが、俺はアイツを
・・・・
そんな風に見るつもりはさらさらねェよ
・・・・・
俺は、そんなもんのために“ここ”(戦場)にいるわけじゃねェんだよ
アイツよりも俺が分かってなくてどうする?
俺はアイツとただの仲間として、この戦に勝つために戦うだけだ
これからもずっと…