第5章 人は皆 十人十色
「仲良しだね」
雅は独り言のようにボソッと呟いた。
『あ?仲良しじゃねーよ』
即反応した高杉と銀時がハモった。
「マネすんじゃねコノヤロー」
「てめーだろ。俺の方が若干早かった」
互いにメンチを切った。
「冗談だよ。じゃあもう寝るわ」
雅はそれ以上話しもせず行ってしまった。
「やっぱ井戸端会議もつれないのぅ。昔からあんななのかぁ?」
「昔の方がもっとつれなかったさ。むしろ今がよっぽどいいもんだ」
確かに昔の方がひどかった。
「わしから見りゃ、何か心を開いとらんというか」
「元々アイツは俺たちにでさえ、自分のことを話そうとしないんだ。仲間だというのに」
「……」
さっきまで雅と一緒にいた高杉は、3人の会話に入ることなく、ただ遠ざかる背中を眺めていた…
〈寝室〉
皆が眠ってる中、高杉は横になったまま考えてた。
(仲間…か)
俺は、何か強く望んでるわけじゃねー
この戦で、ただアイツらと一緒にいるだけだ
この戦の、先の未来ってのァ俺には分からねェ
だが少なくとも…
俺はまた、自分の頭に触れた。
いつも通りアイツがいてくれれば…
~~
満月の夜
高杉は1人涼みに、外で煙管をふかしてた
左目には包帯
心地いいそよ風が、煙管の煙をなびかせた
ヒュゥ
(?)
風で頭に何かが付いた
取ってみるとそれは、桜の花びらだった
(桜?)
この時期に?
“夜桜ってさ…”
(………)
左手のひらの花びらと煙管を包み込むよう握り締めた
強く握った手の中
蘇る、遠い昔の記憶…
(何でだろうな…)
煙管と桜の花びら
「……」
何でこんな時に、思い出すんだ?
ガチャン
「オイ」
神楽は後ろから銃口を向けた。
「お前この船の船員アルか?ちょいと中案内してもらおーか。頭ブチ抜かれたくなかったらな」
高杉は、そんな脅しに全く耳も貸さない様子で煙管をふかした。
「オイきいてんのか」
高杉がゆっくり振り向くと、神楽はその匂いとただならぬ雰囲気に冷や汗をかいた。
微かに銀時と同じ匂いだと気付く余裕もなく。
俺はあの頃と何も変わっちゃいねー
俺の見てるモンはあの頃と何も変わっちゃいねー
俺は…