第5章 人は皆 十人十色
え?
「どういうこと?」
・・・・・・・・
しかも、私が泣かないためって…
俺の言ったことが理解できず、驚いた表情のまま。
「チッ」
(同じことは二度言いたくねーんだよ自分でも、言うのハズいんだよ…)
らしくもないことを言って、恥ずかしく頬を赤くする高杉は舌打ちした。
「…ッ。だーから!また試合してやるってんだ!
てめェは独りの方が気楽かもしれねェが、俺にはお前が、勝手に独りになって勝手に泣いてるようにしか見えねェんだよ」
反抗的なガキのような目と生意気な口で、自分の思ったことをきっぱり言った。
(……)
今まで、こんな言ってくる奴いなかった
ヅラは、気を遣ってるのか 私にそんな深入りはしない
銀時は………よく分からないから保留
松陽先生のことは普通に尊敬している
別に、コイツのことは眼中になかった。むしろ今まで、ろくに話したことも…
「記憶通りなら、アンタとは話すのでさえ稀なはず。なのになぜ私にそこまで構う?」
……確かに
・・・
いつも通りだったらお前には関わらなかっただろうぜ
そこらへんは俺もよく分からねェ。ただな、
高杉は雅を指差した。
「俺は二度言いたくねー主義だけどな、
俺はお前にあんなツラ見せられて、ムシャクシャしてたからてめーに勝負を挑んだんだ。
それに前からてめーが気に食わなかった。ただそれだけだ」
それの結果、雅が勝った。
「だがさっきので、てめーはハナっからから、俺と同じ……いやそれ以上の実力だっただろ」
「……」
あの負けず嫌いで素直じゃない高杉が、すんなり雅が自分より強いことを認めた。
「だから次やるときは絶対負けねェ。これで俺とお前は1勝1敗で、始めもさっきの試合もチャラだ。つまりてめーと、心置きなくやり合えるって訳だ」
俺は敗北を引きずるなんて面倒臭ェことはしないタチなんでね
てめェのことは今でもよく分かんねェのは変わらねェが、それと試合のことは別だ
気に食わないから、絶対に負けたくない
高杉には、“勝ちたい”という人一倍強い闘志がある。
たとえ相手が女でも、いけ好かない奴でも負けたならその分勝つ。
高杉晋助の勝ちへの執念は、銀時も呆れるほどなのは、みんな知ってる。