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君想ふ夜桜《銀魂》

第5章 人は皆 十人十色



お互い譲れないわけがある

俺にはコイツに勝つプライドがある
コイツには弱みを見せたくないプライドがある

人間ってのぁ、どんなに違くてもどんな奴でもそれぞれプライドってもんがある

俺は桂とは違って、武士道とは程遠いがそれでも先生は言った


  『君は君の思う侍になればいい』


今でも、自分の思う侍ってのぁ何なのか分からねェ

だが今はっきり言えるのは


 コイツだけにァ
     絶対負けられねェってことだ!




「ハァ…ハァ…」

疲労も現れ、集中力も切れてきた。

だが段々と相手の攻撃の癖を見抜いてきたのは、お互い様のようだ。

高杉は呼吸を整え、攻めに入った。

「ヤァ!」

その瞬間が、勝敗を分けた。

雅は予知したように、高杉の竹刀を見事にさばき、一呼吸もしない間に突きを使った。

ガァン!

「グッ…!」

モロに食らった高杉は、床に打ち倒された。

シーンと静まり返る道場。

寝そべったまま悔しそうな顔をする高杉。
実感がなさそうで、驚いた表情の雅。

この勝負、雅の勝ちだ。


その瞬間、

『うぉぉぉ!!!』

歓声と大勢が押し寄せてきた

「!!」

「すっげー!」
「銀時に唯一勝てた高杉に勝つなんて」
「やっぱつえーよお前!」

みんなは集まってきて、雅の周りを囲った。

試合してたのを外からずっと見ていたらしい。

「えっと、私は…」

人混みに混乱する中、ボーッとしてた高杉は温かい目と優しく微笑みかけ背中に手を当てる銀時と桂に絡まれていた。

「そういうときもあるさ。これで全てが終わるわけじゃないんだ」
「そーだぞ。まぁ女子に負けるなんざ、生意気なてめーにとっちゃショックだろうけどな」

「まだ何も言ってねーだろ!何でこんな時に限って慰めてくるんだ!打ち合わせでもしたのかてめェら!
しかもテメーに至っては「女に負ける姿拝める」とか抜かしてただろ?!」

嫌がらせをしてくる2人に高杉はツッコんだ。


「おやおや、稽古とは熱心ですね。しかも
・・・
授業中に」

『!!』

試合をしてた高杉と雅ももちろん、今まで覗き見をしてた皆も含め、
その優しく怒気を帯びた声を聞いた途端冷や汗をかいた。


なぜならそこに、吉田松陽が笑って立っていたから。

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