第19章 友が為
しかし、"通仙散"を用いても痛みが消えるだけで、元凶の毒を解毒できなければ意味がない。
だからといって、"龍毒"そのものを使えば、体内の毒と中和できたとしても、その副作用に耐えきれず、その者は確実に死ぬ。
((……せんせー。私は_))
雅は自室のその場で蹲り、自分の非力さを恨むようにして、悔しさで身体を震わせていた。
もし私にも、せんせーと同じように、"龍毒"を媒体にして、新薬を作れる技術があれば…
もし私にも、せんせーが私を奈落から護ってくれたように、銀時に怪我をさせずに護りきれる力があれば…
私は、自分の母親でさえも、護るどころか救うことすら出来なかった無力なヤブ医者だ。
世界で最も大切だった家族ですら死なせてしまった私に、そもそも、仲間を護ることも、その資格すらも、始めからなかったのかもしれない。
そもそも私は、一度は医者を諦めて、自分の運命や過去から逃げた臆病者だ。
『雅。母さんのことを頼んだぞ。医者として、家族としてでも、自分の信念と共にずっと大切に持ち続けるんだぞ』
せんせーとの約束と護れなくて、そんな私の元に、あの人が帰ってくるわけがない。
10年間、ずっと彷徨ってきて、どんなに人を救おうと、どんなに贖罪しようと、母を救えなかった私が、これ以上仲間を救えるのか……?
雅は掌の小瓶を見つめる。
((……ダメだ。銀時に……使えるわけがない…))
もし使えば、きっと、私みたいに……
バサッ
「!」
頭の上から何か布のような物が覆い被さり、引き剥がしてみると、白い手拭いだった。
「よォ」
「!」