第19章 友が為
3日前に遡る。
厭魅と対峙したあの後、雅は手術室へ銀時を運ばせると、急いで傷口や容体を詳しく診た。
『雅さん!蠱毒の感染と思わしき新規感染者が今のところおりませんが、他の負傷者はどうすれば__』
『大広間に集めて、優先順に並べさせるようお願い。縫合だけで輸血の必要はない者には、他の医療班に当たらせて。私は銀時の手術が終わり次第、1番から取り掛かる』
手術着を着ながら、部下達に指示を出し、手術台で仰向けになっている銀時を前にする。
『メス』
隣にはオペのアシスト役として黒子野にいてもらい、慣れた掛け声と手つきでメスを受け取り、患部を開いて診た。
『!!』
・・・・・・・・
せめて銀時だけは
・・・・・・・・・・
そうあって欲しくない。
ここに来るまで、そうずっと願っていた。
しかしそんな私情より、長年積んできた医者としての勘の方が、当たってしまった。
((信じたく…なかったのに……))
"蠱毒"の初期症状と同じ兆候が見られたのだ。
カラァンッ
『!』
あの冷静な雅が、手からメスを滑り落としてしまい、開腹状態の銀時を前に、狼狽えてしまった。
『雅、さん…?』
ハッ
不審に思った黒子野が声をかけると、雅は我に帰る。
自身の左腕が震えていることに気付き、右手で抑えて無理に落ち着かせる。
『……すまない。再開しよう』
新たな刃を手に、友の為に、その手を友の血で汚した。