第19章 友が為
「なんじやヅラ。おまんも来たのか。夢主に焚き付けられたか?」
「ヅラじゃない桂だ。吉原大炎上の撮影のついでだ。こっちは劇場版 完結篇のオリジナルストーリーで、今後大事な見せ場もあるからな」
桂は若干ドヤ顔+決め顔で言い、辰馬のモジャモジャヘアがスーパーサイヤ人の如し、怒りで逆立つ。
「何じゃー!どいつもこいつも、そんなに劇場版の出番があるのが嬉しいかァ?!新訳 紅桜篇しかり、実写版しかり、何でおまんらばかり、はっちゃけてるんじゃ〜ッ!」
桂に飛び掛かる勢いで問答する。
「お、落ち着け坂本。そこまで気にしているとは知らず悪かった。夢主も、そんなお前を不憫に思って、この小説では出番が俺よりも多くて……」
そんなフォローを出しつつも、辰馬の嫉妬は収まりそうにない。
高杉は宥める気もなく傍観する。
「何、病室の前で、くだらない茶番を続けている?」
『!』
皆は思わず、声の主の方に振り返る。
何と予想外の人物がおいでになった。
この夢小説の紛れもない女主人公である張本人。雅が凛々しく立っていた。
「雅?!」
高杉は坂本に負けないくらいの声を出して驚愕する。
「ギャーギャーギャーギャーやまかしいんだよ。発情期ですか。このヤロー」
本当の主人公のセリフをパクって、久方ぶりに再登場する。
そしてその本当の主人公は、未だに眠ったままでいる。
「……いくらメタ世界だろうと、銀がこんな状態の時に、随分と呑気にやっているものだな」
協調性の取れていないガヤガヤうるさい教室を統制する風紀委員長のごとく、銀魂メンズを宥める。
高杉は彼女に誤解されないように自ら弁解しようとする。
「いや雅。そもそもの発端は、この世界を作りやがった奴が、急に話に割り込んできやがって……」
「らしいな。私も大方の事情は、彼女から聞いた」
「!」
雅は相変わらず神妙な面持ちで、冷静に状況を踏まえる。
「確かにこの小説世界そのものは、茶番以外の何物でもない。"私"(雅)という存在しないはずのキャラクターを勝手に作り出して、ありもしないエピソードで何度も踊らされて。特にアンタはね」
「!」
雅は高杉に話を振る。