第19章 友が為
学生の頃は、何となく生きて何となく頑張っていれば、それだけで良かったよ。
学校の友達と何気ない話を毎日して、勉強も頑張れるとこは頑張って、親に感謝しながら頑張って。
とにかく、シンプルで分かりやすい世界だった。
自分らしくいられて、子供らしく楽しんでいられる日々だった。
そんな中で書けるこの物語も、私にとってのもう一つの世界でもあって、私自身の誇りであったんだ。
『……』
いつの間にか辰馬も夢主の声に耳を傾けており、誰も話を遮ろうとする者はいなかった。
でも、大人になれば、嫌な人とも付き合っていかなきゃいけないし、孤独を感じて辛くても、我慢しなきゃいけない日が多くなった。
満員電車でもみくちゃにされたり、会話を楽しめる相手もいない中で、真面目に仕事だけやるばかり。
毎日が同じ繰り返しで、変わる努力をしても、職場を離れない限り、それは無理だと悟ったよ。
「……おまんはそんな中で、自分らしさを無くてしまった。つまり、書かなかったんじゃなく、
・・・・・・・・・・・・・
書けなくなっていたんじゃな?」
……。
辰馬の問いかけに、夢主は黙り込んで、無言の肯定をする。
虫の良い話だよな。
新劇場版観に行ったら触発されて、久々に書いてみたなんて。
こんな中途半端に更新停滞させてきたくせに、のこのこと帰ってくるなんて。
今更、書いたところで、何の意味もないかもしれない。
別に社会のお役に立てるわけでもないし、ただの現実世界での鬱憤に過ぎないかもしれない。
学生時代とは違って、うまく書けずに何度も作り直しては壊してまうかもしれない。
けど、それでも、やっぱり私は、この世界をどうしても書き続けたいんだ。
雅という私にしか描けないキャラクターの、その生き様を、何としても、最後まで書き通したいんだ……
「……」
「……」
「久々の更新祝いだというのに、やけに神妙な空気でないか」
『!』
辰馬と高杉の前に、桂が姿を現す。