第19章 友が為
「雅…!」
高杉は迫り来る敵を斬り伏せながら、雅と銀時の元へと辿り着いた。
雅は銀時に肩を貸したまま膝をつき、息を切らしていた。
高杉もまた屈み、顔を覗き込むように様子を伺う。
「無事か?銀時は…」
しかし雅は応答せず、何か様子がおかしかった。
「……アイツら…アイツら…だけは」
「?」
横から垣間見たその目つきは、いつもの雅のものではなかった。
「雅…?」
「……悪い。助けに、来てくれたのか」
雅は高杉の存在に気付き、ようやく応答する。
肩から銀時の腕を解いて、仰向けに寝かせて、心拍と血圧を確認する。
いつも通りの医者の顔に戻り、高杉は安堵を覚えつつも、未だに違和感を覚える。
(今の顔。"あん時"と同じ……)
……いや。今はそれより
「何があったんだ?他の奴らは?」
「……厭魅と出会して、私と銀時で応戦した。けど、援護に来てくれた仲間全員…やられた」
手慣れた処置で銀時の容体を診つつも、その口調には、無念による震えが込められていた。
「判断を誤った…私の力不足で……護りきれなかった」
雅はそう言った後、高杉と共に来てくれた仲間達に、銀時を本拠地へ運ぶように指示を出す。
担架を用意させ、医療班には手術室の準備を任せた。
「準備が出来次第、執刀する。銀時の深傷はすでに塞いでいるが、開かないよう慎重に運んでくれ」
そうやって先に行かせた。
高杉もまた、鬼兵隊の部下達を銀時を運ぶ医療班の援護のために向かわせた。
そしてその場には高杉と雅だけが残った。
「雅……」
高杉は少し離れた場所でその背中を眺めながら呟く。
あの夜と同じような状況だ。
仲間が死に追いやられて、雅は独りになって自分を落ち着かせるために、あえて自分が残って……
「大丈夫だよ晋助。もう2度と繰り返さない」
「!」
雅は振り返り、そこには何と笑顔があった。
まるでそれは、
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松陽と瓜二つのような優しい笑みだった。
(先生……?)
「私が必ず何とかする。だから、信じて待っていて」
柔らかい優しい笑みの裏で、雅はすでに"ある固い決意"をしていた。