第19章 友が為
「……生き残ったのは、私達、だけだ」
銀時を肩に抱えたまま、目もろくに合わさず、独り言のように呟いた。
「……すまなかった…銀時運ぶだけで、精一杯だった」
言葉の合間合間に呼吸が荒く、明らかに疲労している。
一方気絶したままの銀時は、今は呼吸はしているが、意識が戻る気配もない。
外傷はさほどないが、問題は"中身"の方だ。
(どっちにしろ今のコイツらの状態で、また攻められでもしたらヤバいな…)
高杉は、銀時を鬼兵隊に運ばせて、雅を自分の肩に腕を回して支える。
天人の増援に気をつけながら周りを警戒して、一刻も早く桂達の元に向かう。
雅は疲労のせいか、足取りが悪く、高杉の支えがあっても、進みがよくない。
「大丈夫か?足は挫いてねえか?」
かつて高杉も治療されたことがあるため、雅は自分自身の治療などお手のもののはずだ。
しかし、雅は苦い表情のまま首を振った。
「……晋助。頼みがある」
「?」
そのまま高杉に耳打ちする。
「……おい!お前らッ!」
『!』
高杉は前方で銀時を運ぶ鬼兵隊の者に声をかける。
「てめーらはこのまま桂と合流して、一刻も早く拠点に戻れ」
「え?。総督と雅さんは?」
「俺達は別の道を使って後から追いつく。コイツがついでに、治療に必要な草取りに行きてェってな」
「草言うな草って。草生えるわ」
隊士達は納得した表情になる。
雅が普段、薬用植物を取りに山に行くことは皆が知っている。
その場所を通りながら戻るのであれば、少々遠回りになるが、帰り道にはなる。
「分かりました。空模様が怪しいので、雨にもお気をつけて」
「ああ。銀時を頼む」
鬼兵隊士達は先に行き、その場には2人だけ残った。