第2章 何事もタイミングが肝心
雅は今まで、嫌なほどこの2人の喧嘩を見てきた。
同族嫌悪というやつだろうか。素直じゃなく生意気な口を開くのが共通点である、銀時と高杉。
それをいつも桂が仲裁して、雅は完全に傍観者だ。
「毎度のことだが、傷が早く治るよう今日は早めに寝た方がいいよ」
雅は医者らしい忠告をした。医者だが。
「毎度のことだが、俺は小学生じゃねー。むしろお前が寝んのが早すぎんだ。俺ァ体調くらい自分で管理してる」
昨日飲みまくって二日酔いで、今朝立つのがやっとだった奴のとは思えないセリフだ。
そのタフさ。医者の彼女も呆れるほどの生命力。
今朝の主人公のあるまじき姿を思い浮かべ、雅はため息を漏らす。
「アンタらが喧嘩しようが慣れ合おうがどうでもいいが、もう少し…」
「雅さん」
2人は驚いて振り向いたら、人がいた。
(確か…鬼兵隊の…)
「すいませんお話の途中。少しよろしいですか?」
その志士は彼女に用があるようだった。
「痛み止めの薬が切れた?」
「いや…そうじゃないんです……」
別の場所で話がしたいと言ってきた。
「ダメですか?」
「……分かった」
志士は銀時に一礼して、その別の場所とやらへ向かおうとしたら、また誰かが来た。
「総督!」
志士は晋助にも一礼した。
「何だ。こんな所にいたのか」
高杉は雅に声を掛けた。
「用ならあとにして」
「いや、そういう訳じゃねェよ」
銀時のガン飛ばしに高杉も飛ばし返した。また2人の間に喧嘩ムードが…
「じゃ、じゃあ雅さん!行きましょう」
志士と雅が行き、高杉と銀時は2人きりになった。
「……」
「……」
全く口も交わさず、両者ただ別の方向を見た。
「あっ!銀時さん、高杉さん」
そこにまた別の人が現れた。
それは、“キセキの世代”(攘夷四天王)のムードメーカーの黒子野だ。
「おお。黒子野か」
そして高杉の親友でもある。
黒子野のおかげで、2人の気まずい雰囲気が楽になった。
「あの、雅さん見ませんでしたか?」
「雅?アイツなら今さっき向こうに言っちまったが」
銀時は雅が行った方向に指差した。
「そうですか…」
黒子野は残念そうに呟いた。