第2章 何事もタイミングが肝心
彼女も銀時たちと同じ 松陽の弟子の1人。
彼女曰く彼らとは腐れ縁だが、こうして共に戦っている。
この戦に勝つため…我らが師、吉田松陽を取り戻すため…
彼女も刀は扱えるが、あくまで負傷者たちの治療が役目だ。
彼女は戦に出ることを希望してるが、仲間の桂たちがなかなか了承してくれない。
「お前がいなくなったら、誰が負傷者を治療するんだ?」と言われていた。
傷の縫合が終わり、雅は包帯を素早く的確に巻いた。
しかしまだ負傷者は運ばれてくる。
周りに重傷者や手当てに戸惑っている人がいないかもう一度確認すると、知ってる顔を見つけた。
「黒子野」
「雅さん」
黒子野の元へ駆け寄ると、彼は流血した腕を抑えていた。
雅は黒子野の裾をめくり、傷を確認した。
「僕は大丈夫です」
黒子野の言うとおり、傷口はそんなに深くなかった。
(そういえば…)
黒子野は、今回の銀時と高杉率いる鬼兵隊が敵軍に奇襲をしかけるという作戦に加担してたはず。つまり…
「アイツらは…」
「ここにいるぜ」
黒子野の返事より聞き慣れた声が聞こえて振り返ると、“やっぱり”と思った。
2人とも元気そうに立っていた。
両者そんな大したケガじゃないが、何故かムスッとし、目を合わせまいと違う方向にプイッと顔を逸らしていた。
(どうやら本当に心配にも及ばなかったらしい…)
少し呆れつつも一安心し、負傷者の治療を続けた。
そして夜……
〈医療室〉
雅は一人一人、寝ている患者の様子を見ていた。
(今日は思ったより、死傷者を出さなかったが…)
臓器などの急所を突かれ傷が深すぎで瀕死の人も出る。
その時は“手術”が必要になる。
“残す”か“摘出する”かで迫られることもある。
どうしても救えず、ただ死を待つだけの悲しい終わり方も。
いつも通り患者の容態を人通り確認し終わったら、部屋を出た。
(!)
すぐそこに、銀髪頭の銀時がいた。
「また…晋助とケンカ…?」
銀時は雅の言葉に反応した。
「アイツが俺のことをおちょくってきたんだ」
とても不機嫌そうにまるでガラが悪いチンピラのようだ。
(コイツが絶対原因だ。以前“低いのに高杉”って言ったから)