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君想ふ夜桜《銀魂》

第19章 友が為



(せんせーはかつて、数々の集落で数々の疫病を抑え込んできた。
・・・・・・
そのおかげで、幕府に消されることなく生き延びられた人達もいた…)

疫病が蔓延した集落は、幕府に知られれば即刻、消される運命にある。

あの最悪の暗殺部隊、“天照院奈落”を介して、集落の人間を皆殺しにした事実も知っている。

それは賊によるものだと幕府が隠蔽しているのも、私は知っている。

(しかしその活動もやればやるほど、幕府の耳に届くリスクも増える。そして最終的にそうなってしまった…)

あの人は、疫病を抑え込むほどの腕を見込まれて、幕府に接近された訳じゃない。

反幕府派であると、最初から見なされたんだ。

華岡愁青は多くの集落を救済し、飢饉に苦しむ民達を束ねあげクーデターを起こすのだと、幕府がでっち上げた。

“奥医師をくれてやる”というのも、ただの嘘。幕府は、あの人の技術を最初から奪うつもりで近付いたんだ。

天照院奈落で私を狙い、せんせーは刀を抜いてしまった。私を、護るために…

幕府に刃を向けたことで、幕府の反乱分子になった。いや、そうさせるためにわざと、弱い私を狙って刀を抜かせたんだ。

弱かった私が悪かった。ただ、あの人は、何も悪くない…

(人を救っただけなのに、何で命を狙われる…そんな理を是とするのは、この国のせいだ)

今のこの国に護る価値はない。この戦いは、その価値を作るためだ。

私はあの人が肯定される世の中を作る。

そして今は何としても蠱毒を抑え込まなきゃいけない。

あの人の弟子である以上、それくらいできなければ、あの人の名が廃る。

もっとも、それが可能なのか今のところ自信は五分五分だが。

雅は長い走馬灯から目を覚まし、目の前の敵に集中した。

(コイツ。ただの傭兵じゃないのは明確。妙な妖術を使うし、以前戦った馬董のように、真剣の背比べじゃ太刀打ちできない…)

アイツの肉体の一部をはぎ取れば、何か情報を得られるかもしれない。

「…貴様ら相手に、まさか1対1で臨むほど、我らは阿呆ではない」

!。え、まさか……

背後に僅かな殺意を感じ取り振り向いたが、それより先に体に痛覚が走る。

しまった。遅かった。

「雅!!」

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