第19章 友が為
「銀。アンタは…」
「お前はどうしたい?」
「え?」
「2人であの中に乗り込み、奴らを叩く。もしお前がそう思うなら、俺も同意見だ」
「アンタ……」
銀時は戦う気満々で、寺にいるのほほんとした銀時はそこにはいなかった。
戦場を駆る姿。まさしく夜叉。
物々しい雰囲気。戦いの武者。
敵はおろか味方にも恐れられる1人の鬼となっている。
その姿を見ると、何だか少し切ない。銀時が戦に出れば出るほど、人から遠ざかっていくような気がして。
銀時だけじゃなく、他の皆も…
そんな気持ちを心の内に押し込み、戦場と向き合う。
「アンタは、それでいいのか?」
「このまま援軍を待ったところで、奴らがいなくなりゃ本末転倒。ここで奴らをとっちめれば、今回のウィルスの真相が分かるんだよな」
「ああ。奴らに接触して、できるだけ情報が欲しい」
蠱毒をばらまいている張本人の魘魅の肉体の一部でも手に入れられたら…
奴の呪術の正体を掴み、それからワクチンを作れれば…
「大勢でかかれば奴らの思うつぼになる。なら少数精鋭でやるべきだ。ただ、てめーがやられちまったら、ゲームオーバーだ。そこは分かってるよな?」
銀時は雅に選択を迫った。彼女が蠱毒に感染すれば、このまま兵は弱体化の一途を辿る。
かなり危険な橋を渡ることになる。
「……分かっている。だがこのままでは死傷者が増えるばかりだ。直接戦ってみて、何か分かるかもしれない。私はそれに賭ける」
「……分かった。じゃあ背中は任せたぜ」
銀時と雅は敵がいる戦艦の残骸へ進む。
地面には敵な仲間の腐った死体がある。肉塊も落ちている。生首くらいの大きさだ。
屍が蔓延る地を進みながら、白夜叉と青い死神が前に進む。
「雅。別れる前にてめーにアドバイスしておくぜ。男に気安く好きって言わねー方がいいぜ。相手によっちゃ勘違いされるからな」
「……そうか」
「そういうのは“本命”にだけ言ってやれ。この戦いが終わった後でも、心おきなく言えるだろうしな」
「え?」