第19章 友が為
「え?」
藪から棒に言われ、銀時は間抜けな声を出した。
「けが人を区別する上でも助かる。例えるなら囲碁だな」
黒い玉の中に一つだけ白があればよく目立つ。迷子になっててもすぐに見つけられる。
「それ、仕事上都合がいいってだけじゃねーか」
「それだけじゃない。見ていると退屈しない。白色はリラックス効果もあるから、疲れたときにいいな」
「人をストレス発散方法のように言うなよ」
銀時はハァとため息をついた。
「……そんな気にする必要はない。私もコンプレックスはある」
「え?お前にあるの?」
「聞きたいか?」
「ああ…」
「何だと思う?」
まさかのクイズ形式で、銀時は頭を悩ませた。
「ええーと何だ……」
銀時は雅の顔から下へ下へ視線を移し、胸に目を留めた。
「違うそっちじゃない」
「あ、ち、違うのか……」
慌てて目を反らす。
怒ると怖い彼女にガンをとばされるかと思いきや、雅はため息をついた。
「……目の色だ」
「目?」
「翡翠色だ。見たことないだろう?」
雅は自分の珍しい色をした目を人差し指でさして言った。
「昔は人形だの作り物みたいだのとよく……いや、まだ可愛い方か」
銀時は幼い頃から鬼と呼ばれていたから、それに比べたら…
「……確かに珍しいとは思ったが、それほど気にするもんか?」
「アンタは知らないと思うが、この目はな……」
背中に誰かの殺気を感じ取り、慌てて刀を抜いた。
「……雅。どーやら楽しいおしゃべりタイムはしめーらしいぜ」
銀時はすでに抜いていて、殺気を放つ奴の方に目を向けていた。
戦艦の残骸の上にソイツらは立っていた。包帯で覆われた体。不気味ななり。“魘魅”とその部下だ。
「あれは…!」
「ああ。どうやら俺達は、アタリを引いちまったらしいな」
援軍が来るのはまだ時間がかかる。よりにもよってこのタイミングで、大元に出くわしてしまった。
(銀時と二人で、1対1でアイツらと戦うか…)
敵は全く動かずこちらを見ている。「こっちに来い」と私達を誘い込んでいるようだ。