第19章 友が為
(一部の野郎ん中じゃ、雅の胸の成長雑談で浮かれてる奴がいやがったなー)
俺もそれに聞き耳立ててたがな。二年前はDかEかと丁半で博打を打ってたが、今は多分Fくらい…
「下らないな」
「!」
「顔が似てる奴なんてごまんといるだろう」
「あ、ああ…そっちの話か」
あッぶねェ。頭ん中読まれてると思って、背筋が半冷凍状態になったぜ。
「逆に、血縁関係はあるのに全く似てない奴もいる。アンタが小栗旬に似てるのも、そんなとこだろう」
「そう…だよな……まあ実写の話だけどな」
「……だが、もしそうなら、戦前に髪切っといて正解だったな」
「?」
「あの人は長い髪だったからな」
銀時にとって親にあたる人と顔も髪型も似ている人が、いつも目に入れば、きっと悲しい思いをするだろう。
そして、晋助にも。
「……アイツが私を気にかけるのは、“それ”が理由かもな」
「え?何て…?」
「…いや、何でもない」
銀時は雅の小声を聞き取れなかった。
「とにかく、松陽と私が元は赤の他人だったのは、アンタが一番知っているはずだろう?
・・・・・・・・・
直接見たんだからね」
雅が松下村塾に入ったキッカケは、雨の日に銀時と寺の廃墟で出会った時のことだ。
そこで松陽は雅の前に姿を現し、彼女は成り行きで入塾した。
それが松陽との初対面の日でもあった。
「ああ。そうだったな」
「ああ。そうだよ……私からすれば、アンタと松陽が似ていると思うよ。マイペースで掴み所がないところとか。あとボケるとことか」
「そうかい。俺ァそんなとこより、先生のようなサラサラヘアーが良かったな。同じシャンプー使っても全然効果無かったしな」
銀時は自分の白い天然パーマをいじった。
「……私は好きだよアンタの髪」