第19章 友が為
「何の話だ?」
似てる?誰に?ガッキーか?それとも吉田沙保里か?
「……どことなく、松陽に似てんだよ」
銀時は頭を掻いて目を反らして呟く。
?
「松陽と?あの人と私じゃ全く違うだろ。あんな陽気な人と…」
「そーじゃねェ。顔が、ちょっとばかし、似てる気がしてな」
「……」
突拍子のないことを言われ、何とも言えない空気になった。
「てめーの普段の仏頂面じゃそこまで分かんなかった。だが、笑った顔を見るとな」
・・・・・・・
「……アンタだけなの?」
銀時はその言葉に反応した。
「ヅラや晋助も、同じ事を言ったことがあって、アンタもそう思うようになった。そんなところか?」
「……まあな」
銀時が気になりだしたのは、祭りの夜の後のことだった。
松陽が雅を連れて先に帰り、松陽が戻ってくるまで3人で待ったときのことである。
桂はずっとそわそわしていて、高杉と銀時がいつものように喧嘩していても仲裁に入らなかった。
その時、2人にふとこんな事を言ったのである。
『先生と雅に…血縁関係とか…あるのか……?』
「ヅラの奴、そんなこと言ってたのか?」
「ああ。お前と松陽がそんな感じに見えたとよ」
「……」
雅はあの夜のことをよく憶えていた。ごろつきに囲まれてその後……
(松陽が来てくれなかったら、
・・・・・・・・・・・・・
ごまかしきれなかったかもな……)
「……んで、その後アンタは何て言ったの?」
「そんなわけあるかって言った。だが、高杉は浮かねェ顔してたよ」
高杉はあの祭りの夜、雅を真ん中に松陽と三人で手をつないだ。
左側にいる松陽と雅の横顔をさりげなく見た。
『?』
すると高杉は何か妙な違和感を覚えた。
((コイツ、何か先生と…))
「どーやら高杉もヅラと同じようなことを考えてたらしいぜ」
それから数ヶ月して、松陽は奈落に捕縛され松下村塾は焼かれた。
残された松陽の弟子達は、攘夷戦争までの数年間、鍛錬を積み重ね、そして自分達も成長した。心身ともに。
雅も身長は大きくなり、顔立ちもはっきりと大人に変わっていった。
子供の時より、松陽の面影が色濃くなった。