第5章 人は皆 十人十色
「確かにアイツは強い。だがそれ以前に奴は女だ。本当はこの場にいるのでさえ…」
桂はハッとなり一旦話しを止めた。
「あぁ。女だと言っても決していやらしいことは考えてないぞ。俺は仲間として気にかけてるんだ。決して変な気を起こしてはないからな。断固チガウカラナ。カンチガイスルナ」
何も言てないのに言い訳を言ってきた。それに焦って早口で後半外国人になっていた。
ふと、銀時は考えた。
確かに戦場でも自ら敵にツッコんでいく姿勢。つまり…
「要するに奴は死に急ぎ野郎だな。1巻目から巨人に食われたりしても、主人公補正がかかってるから死ぬことはねェし心配ねーよ」
「もはや別のキャラじゃねーか」
なんだその訳し方?戸田奈津子でももっとマシな訳するぜ
しかもジャンプじゃねェ
それに奴は…
ズキンッ!
「ッ!」
高杉は顔をしかめた。
「どうした?」
「……何でもねェ」
「で、その死に急ぎ野郎はどこにおるんじゃ?」
「部屋に籠もってんだろう。いつものことだ」
「誘っても連れないんじゃ。一緒に飲もうと言ってもの~いつも断られるぜよ」
(俺は逆に誘われたが…)
どうせ辰馬が余計なことを言って、アイツは呆れたんだろ
高杉はよっこらせっと腰を上げた。
「どこにいく?」
「涼みに」
ワイワイ騒いでる中、高杉は1人で広間から出た。
渡り廊下にて、
外に出てみれば、心地いいそよ風が吹いてくる。
むさ苦しい中で皆と飲む酒とは別で、こういう独りの息抜きも必要だ。
(最近暑ィな)
歩いてると、先日雅と鉢合わせした場所に着いた。
しかし、そこに雅の姿はなかった。
(もう寝たか?)
ベン ベン…
(?)
風の音が止むと、別の音が聞こえてきた。
耳を澄ませてみると、どこかの部屋から聞こえてくる。
(何の音だ?)
高杉は音を辿ってみた。行き着いた場所は意外な所。
(雅の部屋?)
襖の隙間からは部屋の明かりが漏れている。まだ起きてんのか?
すでに音は聞こえなくなっていた。
隙間を覗いてみたら、
雅が窓に寄りかかり、煙管をふかしながら部屋の外を眺めていた。