第5章 人は皆 十人十色
「鬼兵隊、敵を殲滅しろォォ!!」
晋助率いる鬼兵隊が援護に来てくれた。
敵は鬼兵隊を前に怖じ気づき、形勢逆転だ。
目の前にいきなり現れて、彼女は少し腰が抜けた。
(何故ここに鬼兵隊が…?この前線に来るなんて)
作戦では、もっと別の場所にいるはずだ…
「おい、ケガしてんじゃねーか」
高杉は雅の腕を取った。
血が滴り出て、かなり深い刀傷。
さっき天人と刀を交えたときにやられたんだ。
「いや、私より重傷者がいる」
あまり心配されたくないから腕を引っ込めた。
自分よりも他人が優先だ
「出血量も予想以上に酷い。早く治療する必要がある」
「分かった。俺たちが足止めする。てめーはその隙にソイツを連れてけ」
「恩に着る」
雅は負傷兵を連れて安全な場所へ向かった。
その後の鬼兵隊の援軍により負傷兵の手当てができ、桂たちも無事だった。
大勢の負傷者がいたにも関わらず、雅の迅速で適切な治療のおかげで、通常より死者は圧倒的に少数に収まった。
治療できる安全な所さえ確保できれば、たとえ戦場でも負傷者の手当てがすぐ行える。
その分、生存確率が大幅に高くなる。
私たちは勝ち戦を収めた。
〈寺〉
ワイワイ ガヤガヤ
その夜、皆は大広間で騒いだ。
桂たち含めた攘夷四天王も、酒を飲みながらだべっていた
「ヅラ。おまんの戦況、随分大変じゃったとな」
結果勝ったが、よりによって雅が配属された桂の軍隊がいた戦地が最も過激だった。
桂は頭を下げた。
「すまん、俺の配置ミスだ。危うく雅がやられる所だった」
「アイツはそう簡単にやられねーよ。状況が最悪だっただけだ」
相変わらず銀時はマイペースでおいしそうに酒を飲んだ。
「自分が残って、ケガした奴らを逃がそうとしていた。あんな軍勢相手にするとは無謀だったが」
もし俺が駆けつけたのが遅かったら…
桂は雅を守れなかったことに負い目を感じた。
「やはり、アイツを戦場に出すのは…」
「雅が決めたことだ。好きにやらせりゃいいだろ。心配しすぎだ」
銀時はまたグビッと酒を飲んだ。
確かに、今回が危うかっただけで、いつもは並以上の戦力として戦で活躍してるのは一目瞭然。