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君想ふ夜桜《銀魂》

第18章 帰ったらまず、手を洗おう



「最近妙な風邪が流行しているから、女医としての忠告だ」

「それを先に言えよ」

雅はフッと笑った。

「何だよ急に?」

「…いや、別に」

そう言って彼女は戦場に向け歩き始めた。


私はアンタを特別扱いしない。この先何があっても。

この戦場にいる仲間全員のために、全ては戦に勝つため、そして自分の使命のために、私は戦う。


だけど、想うだけなら、罰は当たらないだろう。


立派な夜桜が見える、あの部屋で。

戦場ではなく、一時の安眠の夜。

雅が彷彿させたのは、過去の自分の感情に浸れる、夜桜がきれいに見える、唯一の憩いの場だった。


「……高杉」

「あ?」

「おめーは幸せ者だな」

「は?」

「俺が言えるのはそんだけだ。じゃあ頑張れよ」

雅に続いて、銀時は逆方向へ向かった。

(ケッ。いい女に見惚れられたじゃねーか。高杉)

銀時は友の幸福を心の中で祝福しながら、クールに去った。

「……何なんだよアイツら」

取り残された高杉は、二人がなぜ上機嫌で立ち去るのかとまか不思議に思いながら、彼女の後を追った。


その後、銀時と雅含めた鬼兵隊の作戦は成功し、相手の軍に深手を負わせることができた。

しかし、仲間内で体調不良を訴える隊士が増え、思わぬ負傷者が増えた。

頭痛、吐き気、咳、など症状は様々だ。

雅の適切な応急処置で、収まったものの、彼女は顔を曇らせた。

(例の伝染病か……)

しかし幸いなことに、相手軍へ大きなダメージを与えられたことで、休養を取れるほどの時間稼ぎもできた。

銀時達は肌寒い夜に焚き火を囲いながら、限られた夜の時間少しだけ腰を下ろした。


「勝てば官軍。負ければ賊軍?オイヅラ。俺達ゃ賊でもねェし負けてもいねェのに、いつまでも「賊軍」なんてコケにされんだ。
どこまで勝ち続ければ官軍とやらに“転職”(クラスチェンジ)できんだ。やっぱり「悟りの書」みたいな奴が必要なワケ」

銀時含む攘夷四天王の皆さんは、ドラクエがお好きなようで、官軍について話をしていた。

雅は輪から外れたところで、ドラクエに入らず1人の世界に入っていた。

ずっと砂いじりをしていた。

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