第18章 帰ったらまず、手を洗おう
「ゲッ!高杉!」
思わぬタイミングで現れた高杉に、銀時はつい声を上げた。
「あ?何だ?俺に聞かれて困るようなことでも話していたのか?」
動揺を隠せない銀時は高杉に問い詰められる。
(雅に俺の悪口でも吹き込んだのかコイツ?)
高杉はそう不審がったが、実は逆である。雅が銀時に高杉への好意を吹き込んだのだ。
そんなことを、高杉本人は知る余地はなかった。
(言えるわけねーだろ…!「雅は本当はお前に密かに恋心を抱いてましたー。幸せになれ~。リア充爆発しろ」なんてよ!)
「ああ〜……こ、これは、だな…」
銀時は話を振った隣の張本人に視線を送るが、雅はプイッと違う方向を見た。
(何無視してんだ?!何あからさまに顔背けてごまかしてんだ?てめェがまいた種だろてめーが何か言えよ!)
それか何か…!“本命相手”(高杉)にうまく話しかけられないってか!
どういうとこで乙女心発揮してんだコイツ?!
銀時は心の中でツッコミの嵐を巻き起こしながら、何とかごまかそうと必死になった。
「えーと、た、たたた高杉は、気になる子でもいんのかな~って話をしただけだ」
「!」
高杉は一瞬、雅のことをチラッと見てから、口を開いた。
「な、何気色悪ィ話し、してんだ?戦の最中だろ」
口調がぎくしゃくし、今度は高杉が動揺を見せた。
(あ、今一瞬雅のことを見たぞコイツ。ならやっぱ高杉は……)
・・・・・・
(ッ!よりによってソイツの前でそんな話題振るな)
高杉は彼女のことを思った。
「……で、アンタはどうしてここにいるの?」
雅がようやく口を開き、高杉に話を聞く。
「今日は非番のはずのお前が言うか普通?まあいい……“俺の軍”(鬼兵隊)とお前が組んで、銀時と両側から挟み撃ち。そういう作戦だ」
「なるほど。じゃあ帰ったら手を洗ってね」
「じゃあってなんだよ。どういうことだよ。話の繋ぎ目がブレッブレじゃねーか」