第18章 帰ったらまず、手を洗おう
今の季節とは全く違う。真夏の夜。平和な街の賑わい。
3人の悪ガキと1人の先生と一緒に行った夏祭り。
銀時はよく覚えていた。
「もし綿あめなら非常食になるけどな。食べられてもまた新しい頭ができて、元気百倍のエンドレス非常食になったらどれだけ…」
「俺はアンパンマンじゃねーんだよ。それにもしそうなら、すでに俺が食い占めているぜ」
銀時が一番、甘いものを食べたいと思っている。
こんな血生臭い戦に身を置きながら、いっつも糖分に飢えていることを、雅はちゃんと分かっていた。
スッ
「!」
雅はポケットから、板チョコを取り出した。
「お前……」
ここ数日、ドクターストップで甘いものはご無沙汰だ。
普段、食事制限に厳しい雅が、俺のために……
銀時は嬉しさと糖分欲しさで、目をうるうるさせチョコレートを凝視した。
彼女が手を上に上げると、銀時の目線も上がる。
「戦に不可欠なアンタに死なれちゃマズいからね。これくらいの配慮はするさ」
「ウワァァ!俺はいい友達を持ったなァ!」
銀時は銀紙を破り、かぶりついた。
「ん?」
思っていたのと味が違う。
チョコレートのゴミを裏返してみたら、『カカオ90%』と書かれてあった。
「ほっとんど原型じゃあねェか!!」