• テキストサイズ

君想ふ夜桜《銀魂》

第18章 帰ったらまず、手を洗おう




『そうじゃな…じゃが、アイツを見て「本当に人か?」と疑ったことはあるがな』

ピクッ

『おい。それァどういうことだ?』

『今の会話で思い出したんじゃ。アイツに初めて会った、商人のワシに医療物品を頼んできた時もそうじゃった。
商いで色んな者を見てきたワシからすると、アイツは並外れてるというか、まるで人じゃなく…』

ガッ!

高杉は坂本の襟元を掴んだ。

『高杉…!』

『てめェ…まさかそれを“アイツ”(本人)に言ったんじゃねーだろうな…?!』


大掃除の朝の日。高杉はあの時、坂本の言葉をいつものような戯れ事だと受け止めて、突っかかった。

わしが陰口を言ったと思って、雅の心を傷つけるようなことを許せなかったんじゃろう。

だが、わしゃ決して
・・・・・・・・・・・・・・・
そういうつもりじゃなかったぜよ。

雅を傷つけるつもりではなかった。

今思えば、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その本質を他の誰かと共有したかったんじゃ。

雅は明らかに普通の人じゃない。

その異質は、
・・・・・・・・・・・・・・・・
いつか自分の身を滅ぼすかもしれん。そう他の誰かに言いたかったんじゃ。

辰馬はいつものような陽気な雰囲気をストップさせ、雅を心配そうな目でじっと見つめた。

「……もう私は行くが、その顔、まだ何か言いたそうだな?」

「……雅。おまんはもう少し、自分に優しくなるべきじゃないのか?厳しいのは結構じゃが、今のおまんを見てると、わしゃ心配じゃ」

「……」

自分に優しくなれ?フッ。愚問だな。

雅の心は辰馬の言葉をあざ笑った。

坂本。アンタ知らないと思うが、昔の私はな、
・・・・・・・・・・・・
醜いくらい優しかったんだ。

/ 610ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp