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君想ふ夜桜《銀魂》

第5章 人は皆 十人十色



朝食は食べ終わり、出陣まで1時間足らず。
雅は戦の前に、外で煙管を一服してた。


(今日も果たして、何人が…)

たくさんの死体を思い浮かべても、動揺もしないくらい雅はいつも冷静だ。

治療と言っても、戦場で行うのは極めて危険だから、敵陣から離れた安全な場所で施す。

(治療だけじゃない。松陽先生に教えてもらった剣術もある…)

そう考えてるのとは別に、左手の煙管から出る煙は静かに昇っていく。

さっき辰馬に言われたことがパッと頭に浮かんだ。

(……大将…か)


「雅」

銀時と高杉が彼女を呼びに来た。

「もうすぐ時間だ」
「分かった」

雅は最後に一服だけした。

「いつもそれ吸ってるよな?」

彼女が1人で煙管をたしなむところを何度か目にしている

自分のことをあまり話さない彼女の数少ない趣味でもある

「ただの娯楽。吸ってると落ち着く」

「テメェには早いんじゃねーか?それに肌が荒れるぞ」

「余計なお世話だ。
そもそも私は、アンタたちより少し年上だから可笑しなことじゃないよ」

※今更ですが、夢主は銀時たちより2、3つ年上という設定です…

「でもオメェ、身長は小学s…」
「ば、バカッ!」

高杉は止めようとしたが、

ゴォォォ……
雅はいつもにもまして2人を睨み、異様な殺気を放った。

『!』

銀時も高杉もその殺気に冷や汗をかいた。

「わ、悪ィ悪ィ!冗談が過ぎた」

雅は静かに煙管を着物の袖にしまい、何も言わずその場から離れた。


「あ~あ、アイツは怒るよりもっと笑えばいいのにな」

(てめーが怒らせたんだろ)

銀時でさえ、彼女の笑顔を拝んだことはあまりない。 

「……なぁ銀時。お前」

高杉は雅の後ろ姿を眺めながら聞いた。

「あいつが泣いたとこ見たことあるか?」
「!」

銀時は目を見開いた。

「お、お前まさか…




















そんな趣味があったのか?」

「アイツだけでなく俺もイライラさせるつもりかテメェ?」

シリアスに質問した俺がバカだったぜ

「いやいやあの雅だぜ?さっきだってアイツの殺す勢いの面、こっちが泣くわ。想像も付かねェな」

「……」

じゃあ俺が2度も見たのは…

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