第16章 愛しさと切なさは紙一重
「よぉ黒子野。高杉と密会して悪巧みか?」
『!!』
銀時と桂と坂本が来た。
1ページ刻みで次々に登場してきた。
「何をしてんだこんな道はずれで?用を足したくなってつれションか?」
銀時は相変わらずで、耳クソをほじりながら煽ってきた。
「違ェ。下品そうな頭してる奴に言われたくねーよ」
「誰の頭が下品だって??おめー、歴史上で正妻の雅に飽きたらず愛人まで作ってた奴に言われたかねェよ」
「それは歴史上であって“俺”(フィクション)じゃねェだろ。しかもそれタブーだ」
「これ喧嘩は止めろ。高杉許してやれ。銀時は羨んでいるのだ。俺達には歴史上の妻はいるが、コイツは逸話的な存在だから女などいなく……」
「だッー!うるせー。気にしているからほじくり返すな!」
歴史によると、
桂小五郎には幾松、またの名を木戸松子、
坂本龍馬には“お龍”(おりょう)、またの名を樽崎龍という正妻がいる。
銀時のモデル金太郎は童話の人物とも言われているから、妻がいるかどうかは不明だ。
ちなみに高杉晋作には、高杉雅という妻がいた。雅は“みやび”と読むのではなく“まさ”と読む。
そして、愛人がいたというのは本当らしい…
「そんなの銀魂ファンの人達はとっくにググってるから、とっくに知っとるじゃろう。それよりせっかく集まったじゃき。皆でまた街中を回るか?」
坂本は提案した。
「……」
本当は雅と一緒に回れたらな…
高杉の浮かなそうな顔を見た黒子野は、空気を読むスキルで別の案を出した。
「皆さん。良かったら街外れの港町で魚とシャリを買って、向こうで作って食べませんか?」
「お寿司?!確かにいいのう。最近はおにぎりばかりで飽きていたから。それに作れば出来立てが食べられるぜよ」
「ええ。作るとなるとそれなりに時間もかかりますし。それに皆さんももうお疲れではありませんか?」
「うむ。確かに疲れたな」
黒子野がやけに積極的に皆を誘導している。
何のつもりだ?と高杉は不思議に思った。
「あ、でも高杉さんはまだこの街で用事があるんですよね?」
「!」
黒子野は皆にバレないように、口パクで高杉に伝言ゲームをした。
“これで雅さんを誘いやすいです”