第16章 愛しさと切なさは紙一重
「え?」
高杉は雅を遊びに誘った。
「用事がねーなら、問題ねーだろ?」
「いや問題ある。私はさっきの通り、ヤクザに追われている。見つかって捕まったらアウトだ。賞金もらえないどころかタイキックだ」
「それ笑ったらの話だろ?それに、あの追っ手2人はしばらく起きねェんだろ?目撃者もそんないねーから大丈夫だろ」
(仮にもしタイキックされそうになったら、俺が逆に相手の首にタイキックしてやる)
街並みは朝とは違って活気に溢れている。
甘味屋、雑貨屋、呉服屋、本屋、鋳掛屋。
生活に必要な品や趣味にあてがわれる品も揃っている。
貴重な休日でせっかく来たのだから、見て回ってもバチは当たらないだろう。
「あの野郎共にまた絡まれるのが心配で帰んなら、俺がいてやる」
「いや、アンタは銀と一緒にいたんだろう。ドタキャンは良くないよ」
「別に今は自由行動だから、今は俺1人だ」
「気を遣わなくていいよ。それに……2人でいるところを見られれば、また誤解されるんじゃない?」
「!」
先日、雅は隊士に勘違いをされた。
しばらく足の治療で高杉を部屋に招き入れていたのだが、それを男女の仲であると。
拠点から一番近いこの街には、銀時だけでなく別の仲間達も休暇でいるはず。
高杉と2人で歩いている見られれば、厄介なことになりそう。
「アンタをヤクザの盾代わりにするのも、私のせいでアンタの面子がまた潰れるのもごめんだ」
「……」
「私は帰るから、アンタは1人でゆっくり休みを楽しめばいい」
雅はそう言って、人混みの中へ消えてしまった。
「……」
高杉は頭をかいた。
(俺は最近ちと、雅に固執しすぎか…?)
俺はしけた面したアイツが少しでも気が楽になれるように提案したんだが。
雅はちっとも行きたそうな顔をしてなかった。
もしヤクザ共の追跡がなかったら了承してたか?ってなると、そうでもなさそうだ。
(もしかしたら、アレがあって気まずく思ってんのか?)
強引にキスしたこと。
普通だったら、今みたいに当事者を避けるもんか。
「どうしたんですか高杉さん?」
「!」
すぐ隣に黒子野がいた。何ページぶりだ?