第15章 金では得られないモノもある
(とにもかくにも、
・・・・
似ていたってだけで、同じものという確証はない。それにもしそうだとしても、その男は今じゃおそらくおじいさんになっているか、生きているかもどうかも分からないな……)
・・
これと同じものを持っている人。
雅は、手甲をつけた左手の甲を見つめた。
「その店の場所ってどこか聞いた?」
「京のところって言ってたな。60年も前だから、まだ天人がいなかった時だ。今より緑も建物も伝統的な名残がまだあったかもな」
京か。
「すまねェ。そんな曖昧な情報しか見つからなくて」
「いや、いいんです」
むしろ感謝している。希望が持てた。
雅と頭は1年ぶりにあの刀屋に出向いた。
「いらっしゃい。おお!先生じゃないか!」
刀屋の主人は雅の顔を見た途端、笑顔で駆け寄ってきた。
「髪バッサリ切ったんだね~。もったいないな」
「そんなことはない。首元が涼しくていいです」
雅はここに来た理由や事情を説明した。
「すいません。アナタに頂いた刀を亡き者にしてしまった」
「いいんだ。刀は敵から持ち主を護るためにあるもんだ。アンタが無事だったら、刀も本望だったと思うぜ」
(組長と同じことを言われたな…)
店主はまた2人を奥の部屋へ案内した。
(あ、竹、生えてる)
洞窟のような岩壁に包まれた部屋。隅の下には竹がにょきにょき生えていた。
そして店主の頭は気のせいか、去年よりもその神々しさが増していた。
「医者のアンタは、俺のつるぺたの頭をどうにかできねーか?」
「!」
ドキッ
ずっと見ていたのがバレたのかと思い、雅はギョッとした。
「い、いや。毛根となると…下手にいじれば逆に悪くなる恐れがあります」
今までで一番動揺したかもしれない。
「そうか…それは残念だ」
今の時代じゃリーブ○1もない。万能薬がない限り、髪の蘇生は難しい。
「しっかし、アンタの医術は恐ろしいほどに優秀らしいじゃないか?そういや、何歳だっけ?」
「……二十歳です」
「やっぱり若いな。上白石萌歌と一緒じゃないか」
この銀魂世界はサザエさん方式でキャラクターは歳を取らないから、そう言われても全く実感が持てない雅だった。