第14章 少女よ、大志を抱け
「あー、まあ気が向いたらな。雅には送ってやるよ」
銀時は呟いた。
「手紙だけじゃない。たまにィ同窓会でも開いて集まろうぜよ。男だけじゃむさ苦しいから雅も誘ってのう」
「同窓会か…アイツは乗り気じゃないかもしれんが、それもまた興だろう」
坂本に続いて桂もそんなことを話した。
(同窓会か…)
高杉も思い浮かべた。
同窓会といったら、10年くらい先になるだろうか。
今は戦の正念場。果たして何人出席できるのか。その中に、ちゃんと雅は……
(ダメだ。そんなこと考えんな)
アイツはそんな簡単に死ぬたまじゃあるめーよ。
コイツらも薄々は思ってんだろう。
こんな話しても、生き残れる保証なんざどこにもねェ。
だが話さねーとやっていけねェのも事実だ。
(雅がいる限り、俺達は生き残れる自信はあるがな…)
高杉はそんな辛気くさいことを辛気くさそうな顔をして考えていたので、銀時が一つ声をかけた。
「何辛気くさい顔してんだ?戦はピークでも俺達の成長はもうピーク過ぎちまったから、10年後も対して変わんないよ背丈」
グサッ
高杉は箸を銀時の額に投げて刺した。
「アァァァァッ!!」
額から血が出た。
「まあまあ金時。背丈は手遅れかもしれんが、器の大きさなら、10年ありゃまだ作り直す余地があるじゃろう」
「てめーもムカつくな」
高杉はため息をこぼした。
桂は場の空気を和ませようと同窓会についてまた語り出した。
「ま、まあ10年後と言ったら、雅はさらに美人になってるのではないか。大人らしくおめかしもして、もしかしたら誰かと結婚してるかもしれんぞ」
「アイツが?いやーどうだろうなー。全くそんなの眼中にないらしいし、もししたとしても、旦那を“本職”(手術)の実験台にするだけじゃねーのかアイツ?」
「雅をマッドサイエンティストみてーに言うなよ」
高杉は銀時をツッコんだ。
雅が手術の練習台や新薬の実験台として旦那を作る、なんてそんなこと……
『だったら、俺に嫁ぐか?』
(冗談だったとはいえ、アレ言った後にそれはねーよ)