第5章 人は皆 十人十色
「……」
いきなり腕を掴まれ、ふりほどこうとしてもびくともしない。
「無視すんなッ!話は終わってねェ」
高杉は雅が無視したことに怒っていた。
人の話も聞かず、またてめーの都合で
本当に自分勝手な奴だ
なかなか離してくれず、彼女はようやく口を開いた。
「用件は、何?」
「散歩と言いてェとこだが、もし
・・・・・
昨日のお前見なかったら、ただの散歩になるはずだったな」
「………」
雅は抵抗を止め、高杉はようやく腕を離した。
(ようやく、俺と話す気になったか…)
昨夜のように、何も言わず行っちまうのは無しだ
今も俺のこと無視しやがって、昨日のようにはさせない
「何が聞きたいの?」
「てめー、何であんな所にいたんだ?」
「……目が覚めたから、外に出ただけ」
俺と同じか
その、全てがどうでもいいと言ってるような目。相変わらず気に障る奴だ…
好きでこんな奴…
だが、前から思ってたが…
「お前いつも、独りが好きなのか?」
「え?」
雅は唐突な質問で、少し驚いた表情に変わった。
(何言ってんだ俺は?!)
別に聞こうとも思ってみなかった
だが、俺たちといても楽しそうにないし、独りでいるときも
自分から誰かに声も掛けず、ただ1人でずっと
(それじゃあ俺がコイツのこと、よく見てるような口振りじゃねーか)
ろくに話したこともねーし、俺はストーカーとかじゃあるめーよ!
「……」
雅は高杉から目を反らした。
「誰かと関わると、自分のことを知られるようで不安になる。だから独りの方が好きなんだ」
「!」
不安になる?逆に雰囲気が怖い、無口で全く笑わねェコイツが?
いや待て、じゃあ何で…
高杉はおかしな矛盾や、それに対する自身のイラつきを雅にぶつけた。
『じゃあ、何で泣いてたんだよ?!』
~~~~