第14章 少女よ、大志を抱け
((弟?!))
高杉と桂は、雅に可愛がってもらったことなど全く心当たりがなかった。
一般常識でいうお姉ちゃんといえば、面倒見がよくおやつを半分こしてくれる優しいイメージだ。
(だが雅のように人付き合いの悪さは、弟どころか家族でさえも関係が……)
(つーかアイツ、俺達のことそんな風に思ってたのか?うっとうしい虫とか思ってたんじゃなかったのか?)
桂と高杉は同じようなことを考えていた。
そもそもまさか、彼女からそんな言葉を聞くなんて。
(まさか、可愛がってるつもりなのか?いつものその愛想の無さで?)
「そうかそうか。しっかり者そうな姉ちゃんだね」
やたらとフレンドリーなおやじに銀時は片手に酒杯を持ってこんな質問をした。
「おいおやじ。どうして雅が俺達よりも年上と分かったんだ?コイツ座っててあまり分からねェだろうが、かなり小さいぜ」
(おいー!そんなこと言ったら雅の反感買うぞ!せっかくの飲み屋なのに自分から空気悪くしてどうする!?)
銀時によく身長をいじられる高杉は、酒杯をプルプル手に持っていた。
身長を馬鹿にされる辛さは誰よりも知っていたから、雅と奇妙な連帯感を覚えた。
だが予想に反して、雅は何の反応も見せず、3杯目を飲んでいた。
いつもならギロッとなるはずなのだが…
(まさか、酒で気分がいいのか?)
「そうだねー。まず顔つきというか、年長者みてーに顔が引き締まってるというかね。俺はずっとこの街でやんちゃして生きてきたから、何となく分かるんだ!」
おやじはやはり、人を見る目があるらしく、身長関係なしに、年齢が何となく分かるらしい。
皆は段々とお腹が満たされていき、酒も大分回ってきた。
「意外だな。雅がお姉ちゃん気取りなんてな」
銀時は空の酒杯を雅に突き出し、雅は酒をついだ。
「アンタじゃない。“弟”弟子ってことだから」
高杉と桂は雅の後に松下村塾に入ったから、厳密に言えばそうなる。
「な~るほど。じゃ俺はお前の兄ちゃんってことか?」
「兄なら、松下村塾でもう少し菓子を分けてくれても良かったんじゃないか」
「え?何?お前欲しかったの?」