第19章 友が為
「疫病なんざ汚ねェ真似使って、戦場で剣を交えて戦う度胸もねェ卑怯者共に、これ以上、奪われてたまるかってんだ」
そして銀時が眠っている病室の方へ目を向ける。
かつて、焼かれていく松下村塾を背にして、遠ざかっていく松陽の後ろ姿が脳裏に蘇る。
2人の後ろ姿が被り、遠くへ行って消えてしまうような感覚の中、感情が昂り声に表れ出る。
銀時が討てなかった強敵なら、倒せるのは自分しかいない。
「奴らは、俺が絶対にぶっ潰す」
その瞳には、獲物を取られてはらわたが煮えくり返っているような、野生の獣のそれと似通っている野心があった。
(高杉……)
言葉にせずとも、その面を見るだけでも怒りがひしひしと伝わる。
鬼兵隊の中でも、蠱毒にやられて命を落とした者はかなりいる。
大将として部下の無念を晴らしたいと願うことも、また敵により強い憎しみを覚えるのは当然のことだ。
そして何より高杉にとって銀時は、唯一無二の存在だから。
それは、雅もまた同じ……
『今更、私が冷酷の“青い死神”と呼ばれる理由が分かったか?』
「!」
桂はあの日の夜に、雅が見せた表情が今でも忘れられなかった。
手段を問わず、不意打ちのように敵を殺したあの赤黒い姿。
そして同じく、松陽先生に託されたあの言葉も、今でも憶えている。
『彼女はまるで、剣先を常に己に突き立てているような、自らの命を危険にさらす子だと、そういう印象を受けました』
『あの子がこの先また、自分に刃を突き立てるようなことがあったら、助けてあげてください』
たとえ他人の空似のように、顔が似通っていたとしても、その内の性格はまるで違う。
今の雅に必要なのは、俺ではなく恐らく……
(……今まで俺は、先生に言われたように、奴を見守ってきたつもりだが、どうやら
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俺では役者不足かもしれないな)
桂は思い直してしまい、
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本当に託すべき相手に目を向ける。
「……高杉。雅のことなんだが」
「!」