第14章 少女よ、大志を抱け
「桂さん!そろそろ皆食べ終わりますよ!」
『!』
1人の隊士が話してきて、桂は皆にこれからの行動について説明した。
予め決めておいたいくつかの班に分かれて、それぞれの必需品を買い揃える。
高杉は鬼兵隊のメンバーと共に、軍に必要なものを。
銀時は独りで行こうとしたら、彼を羨望の目で見る者達がお供することに。
そして桂は、雅と同行することにした。
しかも2人で。
「ヅラ。何でお前雅と一緒なの?まさか荷物持ちに便乗してデートでもしよっての?」
からかい好きのドS銀時は、にやけ顔で言った。
「違う。雅は女で、刀を手に入れるのが一苦労するから俺がついていくのだ。甘いものにガメツいお前じゃ道草を食い金も無駄にするから、務まらまい」
この買い物の一番のミソは、侍の魂とも比喩される刀だ。
元から持っている人もいれば、戦前を機に買い換える者もいる。
ただし、女一人に刀を売る職人がいるとは思えない。
職人にも自分の仕事にプライドを持つ者もいるから、恐らくおなごのような者の相手をするだろうか。
「まずは本人に聞くのが先だろ。雅、お前は誰と行きたいんだ?」
「……特に希望はない」
「そうかい。じゃあ楽しんでこいよ」
桂は銀時たちと別れて、雅と2人きりになった。
・・・
(楽しめ……か。アイツも考えなしではないのか)
銀時はがさつで大ざっぱな所があるが、いつも殺風景な彼女のことを案じているからこそ、そう言ったに違いない。
銀時を見習うわけではないが、どこか団子屋でも道草を食うのも悪く…
「む?お、おい…」
雅が先に行ってしまってることに気付いて、急いで追いかけた。
「先に行くな。意外とせっかちな奴だな貴様」
「……私をそこまで気を遣うのは、松陽先生に頼まれたから?それとも軍のリーダーとして、これから共に戦う仲間として、私を仲間の輪に引き込むためか?」
!!
雅は後ろの桂に振り向きもせず、淡々とした口調で質問した。
「……確かに、松陽先生に言われたのがきっかけだった。リーダーとして、仲間を率いる将としての責任もある。だが1つだけ間違っている」
俺がお前を気にかけるのは、頼まれたからでも、リーダーとしての義理ではない。
「これは自分の意志だ」