第14章 少女よ、大志を抱け
「何じゃおまんら!それでも雅の同門か?!幼なじみのよしみなのに。だからおなごの心も掴めんのじゃ」
「てめーには言われたくねーんだよ。それにアイツの心を読むなんざ鬼難なんだよ。そんなに読みてーなら、ハイジでも連れてこいや」
「銀時。たとえオンジの心を開かせた愛想のいいハイジを連れてきたとしても、雅の頑固汚れのような愛想の無さはうまく取れんぞ」
「そっちのハイジじゃねーよ」
銀時は桂をツッコんだ。
高杉は3人の会話に耳を傾けて呆れていた。
雅と話すときはお通夜のように物静かなのに、この男達といるとてんで逆。
耳が退屈にならないくらい、うるさい。
「なんじゃおまんら。アイツのプライベートまるっきり知らんのか?医者の雅とは別の、おなごの雅のことも」
辰馬は首を傾げた。
辰馬が桂達の軍に本格的に入ったのは、1年ほど前のこと。
銀時と高杉に向かってゲ○を吐いたあの時だ。
この1年間、辰馬は雅と医療道具の商取引についてはよく会話をしたが、それ以外彼女は全く話そうとしない。
そして辰馬は以前のような、将来のことや結婚のことなど、自らプライベートなことも聞くが、彼女はしぶしぶ答えるくらいだ。
少なくとも、幼い頃からの馴染みなら、まだ3人の方は知ってると思ったが。
「じゃ、今みたいに雅と買い物に行ったことはないのか?」
「うーむ。そういわれても……そうだ!心当たりがあるぞ」
桂は何かを思い出した。
「ちょうど去年くらいのことだったな。銀時と高杉は覚えているか?」
「何がだ?1年前といっちゃ、雅がヅラと髪長キャラ被りを気にして髪切ったくれェしか覚えてねーよ」
銀時は350ページも前のことを覚えていた。
「そうなのか?!雅、前は髪長かったのか?!」
辰馬はやけに反応した。
「そうだよォ。お前が浜で俺達と合流する丁度その日だ、切ったの」
「くぅ~、ワシも見たかったぜよ。雅のおなごらしい姿」
「そりゃ今どうでもいい。で、何の話だヅラ?」
話が中々進まないので、高杉はじれったく思い口を挟んだ。
雅の話だから興味もあった。