第14章 少女よ、大志を抱け
今はだいたい10時頃を指していた。
銀時たちのスケジュールは、街をしばらく歩いて、お昼をどこかで済ましてから、いつもの遊郭に行くことだ。
明日も休日だから、場合によってはどこかに泊まって、翌日も街中を満喫することもできる。
お金の管理に節度な桂は、あまりそういうことはやらないが。
(今日はどんな娘にするか。また高杉に取られるなんて展開はごめんだぜ)
銀時は前回のことをまだ気にしていた。
「お昼なんだが、俺はそばが食べたいのだが、皆は何が食べたい?」
桂はお母さんのように、お昼のメニューについて聞いた。
上から順に、銀時、高杉、辰馬が答えた。
「うなぎの蒲焼き」
「ひつまぶし」
「鰻丼」
「全員うなぎじゃないか!」
とまあ、多数決でうなぎを食べることにした。
銀時はうなぎの甘いたれが好きだ。
最近とても暑くなってきてるので丁度いいかも。
「うなぎっつったら、ビタミンAが豊富に含まれていて、目の滋養にいいんだとよ」
珍しく銀時がインテリ的なことを言った。
「ほう。お前がそんな事を言うとは珍しいな。「らしい」ということは、誰かから聞いたということか」
「ああ。うちの軍医雅にな」
!
高杉は雅を名前を聞き、つい反応した。
自分は完全に彼女に惚れ込んでいる。夢中になっている。
なりすぎて、夢の中に出てくる始末。
(……コイツらに悟られねェようにしなきゃな。下手に話すより、寝不足を装って黙っておくか)
「雅はほんまに大した女じゃな。いつも世話になってるから、わしらで何か土産でも買ったらいいんじゃないか?」
いつもふざけている辰馬にしては、なかなかマトモな提案である。
いつも皆の治療をしてくれる彼女に、ささやかなプレゼントができれば。
「そんで、奴は何が好きなんじゃ?」
「……分からん」
「……分からねェ」
「……分かんねェ」
3人は声を揃えた。