第14章 少女よ、大志を抱け
「坂本さん。休日だからってテンション高いですよ」
「おおよ。久しぶりに羽を伸ばせるんじゃ。今日は有意義に使わんとのう」
今日は数週間ぶりの出陣がない日である。
こういう日は、皆は街に出向いたり、腕が鈍らないよう剣の稽古をする者もいる。
辰馬は今日は必ず街に行って、羽目を外すと心に決めていた。
広間に遅れて高杉があくびをしながら来た。
「おーい、高杉寝不足か?」
辰馬は横から肩を組んできた。
「!」
ドォンッ!
高杉は条件反射で辰馬をそのまま背負い投げした。
「あら~!」
まるでドナルドマ○ドナルドがベンチにのけぞってそのまま倒れたときのCMのような声を出した。
「あいたた。今日は寝起きなのに、いつも以上にカリカリしてるな。マックポテト以上ぜよ」
「黙れモジャモジャ。寝起きの奴に抱き付く奴があるか」
高杉はいつも以上に、周りに敏感に反応していた。
何故なら、とんでもない夢を見ていたから。
自分が雅に想いを寄せているのは自覚している。
そこは認めている。
しかしその想いが強くなったことで、夢にも出てきてしまった始末なのだ。
(あ~こんな事、誰にも相談できるわけがねェ…)
高杉はもう一度顔を洗おうと、広間を出て洗面台へ向かった。
「おうい。高杉」
「!」
辰馬が追ってきた。
「しつけーぞ。さっきのことで謝りにでも…」
「ワシには分かるぜよ。おまんも
・・・・・・・・・
溜まってるんじゃろ?」
「!」
この世で最も悟られたくねェ奴に悟られた。
「て、てめェ…!」
「その様子じゃと図星か。別に恥ずかしがることないぜよ。誰だって羽目外さんと、いずれ破裂するぜよ」
そこで辰馬は高杉に、遊郭に行くことを誘ってきたのだった。
高杉だけでなく、銀時や桂も昨日すでに誘ったのだという。
彼らの傷はもう全快だ。
この四人で遊郭へ出向くのは、今回が初めてではない。
以前も行ったことがあり、「高杉が黙って目ェ血走らせてるだけのクソつま男だった」と暴露されたこともあった。
それ以来高杉は乗り気じゃなくなっていた。
「ま、おまんも最近疲れてるからの。たまにはいいんじゃないか?」
「……チッ」