第14章 少女よ、大志を抱け
「………。!」
高杉は目を覚ましたら、そこは自分の寝室ではないことに気が付いた。
見覚えのない和室だった。
肌寒いと思ったら、寝間着がはだけて上を着ていない状態だった。
(何で、俺はここに…しかも何で上が脱げてる?)
「!」
雅が隣でスースー寝ていた。
(な!)
高杉は後ろに下がって、襖に背中をドンッとつけた。
その音で雅が目を覚ました。
「起きた?」
「ここはどこだ?何でお前が俺と…!」
上半身が身にまとってない状態で女と寝ていたなんて、まるで…!
「!」
高杉はまた新たな異変に気付いた。
雅の髪が、戦前のように長かったのだ。
「お前、髪…」
トンッ
雅は高杉を押し倒して、上に乗っかってきた。
胸を高杉の胸板にぴったりくっつけるくらい密着した。
「ちょっ、おま…」
唇を無理やり奪って、高杉の手の平に自分の手の平を重ねた。
抵抗しようとしても、体に力が入らなかった。
しばらくしてから唇を離し、高杉は息を整えた。
「ハァ…ハァ……お前…何を…」
雅は高杉の手首を掴んで、その手を自分の胸に当てて、触らせた。
「てめェ…何でこんなことを…」
雅は高杉の耳元に囁くように言った。
“アナタことが好きだからだよ”
「ハッ…!!」
高杉は目を覚まして、息を切らせた。
辺りを見渡したら、間違いなく自分の寝室だった。
そして理解した。今見たのは全て夢だった。
「ハァ……ハァ」
しかし手の平には、女性の胸のような柔らかい感触が残っていた。
高杉は指を少し動かした。
「……アウトだろ…」
まさか、夢でもあんなものを見るなんて。
時には、強い欲望が夢として現れることがあると、どこかで聞いたことがあったが…
(まさか、俺が…)
高杉は夢のせいで体の熱が収まりそうになかったので、厠へ行くことにした。
翌日、
「おはようさん、皆の者!」
辰馬がいつものバカでかい声で、寝起きの隊士たちに挨拶した。
ここは広間で、皆は頭に寝癖をつけて朝食の白米をもしゃもしゃ食べていた。