第4章 疲れたときほど甘いものはウマい
あの雅が珍しく話を始めた。
高杉はそれに聞き耳を立てていた。
「松陽先生は、私に刀の使い方を教えてくれた。そして…
「おーい!高杉ィ!雅!」
『!』
2人は屋根の下を見下ろした。
そこには、
片手に酒瓶を持ってテンションの高い辰馬の姿が
「そんなとこで何しちょるゥ?!」
話を遮られ、苛立った高杉は立ち上がって声を張った。
「うっせー、声がでけェよ!」
「アンタもだよ」
周りを確認したら、辰馬以外誰もいなさそうだ
「おまんら、何の話してたんじゃ?」
辰馬が首を傾げて聞いてきた。
「別に。ただの人生相談」
「ほぉ~、意外じゃな。何の悩みも無さそうなおまんがかァ?」
「脳天気バカなアンタには言われたくない」
「アッハッハッハッひどい言われようじゃ。まぁ 今夜は少し寒いからの~。体は冷やすな」
ご親切に忠告して、辰馬は建物の中に入っていった。
「そろそろ戻ろう」
雅はヤクルコとういろうのゴミを拾い、腰を上げた。
「待てよ。まだ話が…」
「別に、話したところで何も変わらないよ」
振り向いたその表情は硬く、冷淡な目つきに愛想のない言葉
いつも通りの雅だ
「それに薄々勘付いてると思うけど、夢主やジャンプキャラあるあるの辛い過去の1つや2つ、読者も見飽きてるんだよ」
「何の話してんだお前?」
確かに、NA○○TOやONE ○○ECEでもそういう設定は結構お決まりである…
「嫌なもの見せたのは悪かった。謝るよ」
「それはもういいって言ったはずだ…」
と言っても、確かに嫌なもん見ちまったがな…
「アンタも知ってるはず。私は元々、自分のことを話す気はないよ」
「…それは、俺たちを信用してないってことか?」
「……」
雅は高杉の方に体を向けた。
「そう思われるのは当然…か。でも、アンタに話せば、
アンタが私の特別みたいになるから」
(……)
今まで誰にも話したことが…いや、可能性があるとすれば…
「先生には話したってことか?」
お前にとって先生が特別なら…
「…さあね」
雅は屋根から下りる寸前に、貸してもらった羽織物を返して二言だけを残した。
「気が楽になったよ。声を掛けてくれてありがとう」